プロが選ぶ「声が良い」女優、現役No.1は? ベスト女優(5)日本人女優で断トツの1位…究極の美声の持ち主
男性は目で恋をし、女性は耳で恋をする―。作家ウッドロー・ワイアットが遺した格言だ。しかし、声が重要なのは何も男性だけではない。「印象の4割は声による」という説があるように、女性にとっても武器になりうる。そこで今回は声の専門家に「最高のイケボ女優」の選出を依頼。女性ならではの声の魅力を語ってもらった。第5回。(取材・文:司馬宙)
吉田羊
―――映画にドラマにと八面六臂の活躍をされている吉田羊さんの名前が挙がりました。 「彼女の声は、今回の5人の中で断トツですね。吉田さんの声はどちらかというと低めですが、低い声の発声って本当に難しいんです。でも、吉田さんの声はかすれがなくて柔らかいので聞きやすいし、声質もかなり若い。俳優では、『地面師たち』(2024、Netflix)に出演していた豊川悦司さんに近い声質ですね」 ―――吉田さんも豊川さんも、小演劇出身という点で共通していますね。 「そうですね。やっぱり、舞台にたくさん出演されている役者さんは、劇場の規模に合わせて声量を計算しなければならないので、みなさん経験値が高いです。特に吉田さんは、口周りを使いこなしていて、トレーニングもしっかりされている印象です。ストイックで練習好きの方とお見受けしました」 ―――吉田さんと言えば、テレビドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』(2021、テレビ東京系)でラジオパーソナリティの役を演じたり、ドキュメンタリーのナレーションを担当したりと、声の仕事が多い気がします。 「ぴったりですね。高い声って、年齢を重ねるとだんだん聞き取りづらくなってくるんですよ。一方、吉田さんの声は、ある程度低いので、どんな世代の方にとっても聞きやすい声だと思います。個人的には、吉田さんには朗読劇を担当してもらいたいですね」 ―――ちなみに吉田さんは、『HERO』(2014、フジテレビ系)の馬場礼子検事をはじめ、知的な役を演じられることが多い印象ですが、これも吉田さんの声質も関係しているのでしょうか。 「関係していると思います。よく言われる話ですが、『明るくて高い声』はフレッシュな印象、『明るくて低い声』は優しい印象、あるいは威厳を表現すると言われています。で、『落ち着いていて低い声』は知的な印象なんですね」 ―――では、吉田さんの場合、ご自身の地声と役の印象がぴったり合っているということですね。 「そういうことになります。若手の女優さんの場合、声質と役が合っていないこともままあるのですが、吉田さんは、経験を重ねる中で自分の声質に合った役を選び取って来たのかもしれません」 ―――ありがとうございました。 【日本美声チューニング協会 三浦人美会長 プロフィール】 発声解剖学をベースにした声を出しやすい身体に整える美声チューニング®を提唱。20代はバンドのボーカルとして芸能事務所へ所属。年間300本のライブをこなし歌い続けた経験の中で発声・姿勢・呼吸等、身体のアプローチから声を変えていく手法を実践。バンド活動の終了後は、講師として稼働をスタート。人前で声を扱うことが多い企業代表や芸能事務所所属のアーティストレッスンまで延べ3,000人以上の方を指導する。
司馬宙