巨人大物OBが指摘する巨人が4連敗した3つの理由「調整力」「捕手力」「育成力」…「原監督は謙虚に反省せよ」
さらに広岡氏は捕手力の差を指摘した。 「大会MVPは甲斐だったと思う。責任感を持って丁寧に投手陣をリードして、そのポテンシャルを最大限に引き出した。危ないと思われる場面では、必ずマウンドに行って事前に策を練った。あと1点が欲しいところで一発も打った。対して巨人は、打力を優先して大城を使い、この日は、岸田を使うなど捕手の守りをないがしろにしていた。小林(誠司)はどうしていたのだ(故障により登録外)」 4試合でマスクをかぶった甲斐は、「恐怖の9番打者」として今シリーズで2本塁打、3打点をマークしている。広岡氏が声を大にするように、せめて優秀選手賞に選ばれてもよかっただろう。 では広岡氏が言う「巨人に必要な謙虚な反省」とは何か。 「ずっと指摘しているが生え抜きの育成だ。ソフトバンクを見てみなさい。外国人選手以外はピッチャーも含めて全員が内側から育てた選手だ。6年目の24歳の栗原がMVPを取ったのは、その象徴だろう。育成出身の若手も目立つ。球団としての姿勢、育成力の違いが明らかにシリーズで結果として出たのではないか。巨人は外から取った丸、中島はシリーズで何の役割も果たせなかった。巨人にもセンスのある若手はいる。いい選手を集めているのだから、監督、コーチが自ら勉強しながら根気強く指導して内から人を育てるべきだろう」 MVPの栗原は、福井の春江工から2014年にドラフト2位で捕手として入団。センバツに出場、高校ジャパンにも選ばれた逸材が6年目に一塁、外野手で花開いた。シリーズの打率は5割。第1戦では先制2ラン本塁打含む3安打4打点、第2戦でも4安打した。 「巨人は常勝を宿命とされているチームだ。それゆえ資金力にモノを言わせFAで外から選手を取ってくることを余儀なくされている。しかし、それは若手から希望を取り上げることにもなるのだ。ソフトバンクも、金を使って選手をかき集める段階を経て、今は生え抜きを育てチーム内に激しい競争のある強い集団を作った。おそらく巨人はこの敗戦で、今オフにまたFAで選手を取るのだろう。だが、この敗戦をそういう負の連鎖につなげてはならない。内から人を育てること。それこそが原がシリーズの負けから学ぶべきことなのだ」 球界大御所からの辛口メッセージ。2年続けて屈辱を味わった原監督は、どう受け止めるのだろうか。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)