さや香が語る『M-1』不出場の理由。「かけ算にするには、ほかのフィールドに行かないとあかん」
『M-1グランプリ』2022・2023年で決勝に進出し、いずれも最終決戦に残ったさや香。優勝まであと一歩のところまで勝ち進み、どの芸人よりも「優勝に近い」と思われていたコンビである。そんなさや香は、2024年春に大阪から上京。今年こそ『M-1』優勝へ……と思いきや、突然「今年は『M-1』に出ない」と宣言し、ネットニュースにまで取り上げられた。 【関連】さや香・新山が仲間の前で語った賞レースへの想い 東京進出という節目の年に「『M-1』に出ない」と宣言した彼らは、今、何を考えているのだろうか。さや香の未来について触れながら、その心中に迫った。
「売れなかったら自分らの実力」というところまで賞レースを使えた
──今年は『M-1』に出ないそうですね。なぜ出場しないのでしょうか? 新山 シンプルに、やる気が湧かないんです。今まで『M-1』のためにめっちゃがんばってネタを仕上げてきて、今年から東京に来たのに「またネタを仕上げるの?」と。「前と同じことやってるやん」みたいなのが、個人的にちょっと……。僕らが『M-1』優勝したいコンビやったらやる気も出ると思うんですけど、別にそこまで思ってなかったから。 ──以前からインタビューなどで「優勝を狙っているわけではない」とお話しされていましたね。 新山 「優勝狙ってないのに出るな」ってよく言われますよ。でも「いやいや、アホやろ」と思います。だって、誰がほんまに優勝狙ってるん? 去年も決勝に10組おって、ほんまに「優勝できる」と思ってた人ってあんまいないと思いますよ。それより「スベりたくない」とか「爪あとを残したい」とかのほうが大きい。みんな決勝に残ることを目標にしてるわけで、そこからさらに優勝を狙ってるのはほんの一部だけちゃうかな。僕は優勝より「売れたい」が大きい。僕らが今から優勝したとして、あと何がもらえんねやろ?と考えると、もらえるのは約9000組分の1の確率を勝ち抜いたという実績とお金だけ。僕らは3回決勝に出て「これで売れへんかったら自分らの実力や」ってところまで賞レースを使えたって気持ちが大きいんです。だから今年『M-1』に出ても、労力ともらえるもんのリスクが見合ってないっていう判断ですね。 ──たしかに、全芸人が現実的に「『M-1』優勝」を目指しているかというと、そうではないのかもしれません。 新山 今「優勝したい」って言ってるヤツって、ボーイズリーグの子が「将来プロ野球選手になりたい」って言ってるのと同じような感覚じゃないですかね。甲子園行ったとか大学までやったヤツほど「プロ野球選手になりたい」って言わんと思うんすよ。それに近いと思います。 ──石井さんはどう思っていますか? 石井 僕はまったく同じ考えというわけではなくて、単純に「優勝できたらいいな」と思いますよ。でも2022年、ウエストランドさんが優勝して僕らが負けたとき、「優勝しようとしてできるもんじゃない」ってめっちゃ思ったんです。それまではただ「優勝したい」だけでしたけど、それを機に僕も「優勝だけじゃないな」という感覚になりました。