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今の政治、福祉なおざり…コロナで接触支援できない民生委員 政治家に感じる物足りなさ

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沖縄タイムス

[争点の足元 6・7県議選](4) 福祉  「訪問ができず状況が分からない。気掛かりだが支援ができなくてもどかしい」。那覇市首里崎山町の民生委員・児童委員の比嘉朝文さん(75)と新崎悦子さん(71)は表情を曇らせた。  民生委員はボランティアで、子どもからお年寄りまで地域の人々のさまざまな相談に乗り、行政や専門機関といった必要な支援につなぐことが役割だ。暮らしの不安や介護、子育てのこと。お金の心配があれば、生活保護などの受給ができないか、共に考える。  その活動が新型コロナウイルス感染拡大で、この3カ月間ほぼストップした。感染対策のために訪問を控えて「接触の機会」を減らさざるを得なかった。  1人暮らしのお年寄りらには電話をかけて様子を聞いた。だが、新崎さんは「相談者は顔を見ないと、『困っている』という本音は口にできない」と実態がつかめくなったことに不安を隠せない。  民生委員が集まる定例会も、地域包括支援センターとの情報交換会もできなかった。比嘉さんも「どこもはっきりした情報は持っていないのではないか。今後が心配だ」とこぼす。  この10年で地域の高齢化は急速に進んだ。お年寄りが体操などをして楽しむ「ふれあいデイサービス」への参加者は半減。その半面、認知症や歩けなくなる人が目立つようになり、相談や社会福祉協議会からの問い合わせが増えた。  民生委員のなり手不足も深刻。5月現在、県内は1947人、定数2422人に対する充足率80・4%は全国最下位だ。さらに「70代の人がほとんど」(新崎さん)で高齢化も進む。  県は、民生委員児童委員協議会への助成を1カ所当たり23万円から本年度は25万円に増やすなど、活動を活性化させようと対策に乗り出してはいる。だが、現場では改善を実感できていない。比嘉さんは「ボランティアの肩に負担が乗ってしまっているようだ」とため息をつく。  県議選では候補者らが「福祉の向上」を訴える。新崎さんは「民生委員の集まりで話題になるのが、福祉財政の厳しさ。今の政治から、福祉はなおざりにされている」  2人は3日、選挙カーが走る中、近所への訪問を再開した。福祉に対する政治家の取り組みに物足りなさを感じている比嘉さんはつぶやいた。「みんなが困っていることを解決して、よりよい暮らしにすることが政治でしょう」 (社会部・下地由実子)

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