2対0で長崎日大が辛くも佐世保南を退け長崎総科大附の待つ2回戦へ
「内容的には20点から30点」 16日に大村市古賀島スポーツ広場で行われた令和2年度長崎県新人戦1回戦で、佐世保南を2対0で下した長崎日大の亀田陽司監督は、試合を振り返りながらそう苦笑した。無理もない。昨年の全国高校サッカー選手権長崎県予選でまさかの初戦敗退を喫したため、今回の新人戦では1回戦から出場しているものの、長崎日大は2018年と2019年の県高総体を連覇したこともある県屈指の強豪である。対する佐世保南は大きな実績があるチームではない。にも関わらず、長崎日大は佐世保南の粘りを前に攻めあぐねしまった。 【フォトギャラリー】長崎日大 vs 佐世保南 試合開始からボールを保持したのは長崎日大。最終ラインの山崎大生・高村周太朗から丁寧にボールを展開し、高いラインから瀬崎耕平と中村大翔がサイドへ切れ込み、佐世保南を押し込んで試合を展開していく。引いて受ける形の佐世保南を攻める長崎日大は、前半12分に三浦圭翔のコーナーキックをゴール前で中村がヘディングで合わせて先制に成功。1点を奪うまでボールのつなぎに細かいミスが目立って長崎日大にとって、この得点は硬さが取れる絶好のチャンスと思われたが、得点後もミスが減少する傾向は見られない。 ボランチの白石快周も山尾彗渡ボールにうまくかかわることができず、得意のパスワークは、引いて構える相手の前に何度も引っ掛かり、サイドからのクロスは佐世保南のセンターバック、林三太の高さに弾き返される。 「今年のチームは例年と比べたら荒削り。けが人もまだ多いし、ポテンシャルは高いけれど、細かな技とか、器用さとかがまだない。伸びしろはあるけれど、まだチームにはなっていない」 亀田監督の言葉を裏付けるように、チームとしての未成熟さを露呈する長崎日大に対し、佐世保南はボールを持たれながらも、足下の技術がある川内琉偉と松村賢悟の2人がカウンターを仕掛け、長崎日大ゴールへ迫っていく。追加点が奪えない時間の続く長崎日大は、後半10分に攻撃の軸と期待する中村大翔と山口大斗を下げて、道脇颯大と森本大夢を投入。だが、この荒療治でも佐世保南の手堅い守りを崩すには至らない。 それでも地力で勝る長崎日大は、後半29分にゴール前のこぼれ球を道脇が押し込んで追加点を奪取。しかしその後も、佐世保南のカウンターにあわや失点というシーンを作られるなど、長崎日大伝統の流れるようなボールのつなぎは見られないまま試合は終了。2対0で長崎日大が辛くも佐世保南を退けて、高校サッカー界の名伯楽、小嶺忠敏監督率いる長崎総科大附の待つ2回戦への進出を決めた。 (文・写真=藤原裕久)