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二極化した労働市場は相変わらず…呼び水になれない公共部門の正規職化

配信

ハンギョレ新聞

[仁川空港正規職化をめぐる軋轢の背景] 政府、主要国政課題として推進したが 民間企業は変化が遅く、限界に突き当たる 正規と非正規への二極化は相変わらず 公共雇用の改善が“特権批判”に  専門家「民間企業採用の狭き門が問題 良質の正規雇用を増やすべき」 公共と民間を統合する政策の検討必要 「非正規使用制限」法改正の声

 仁川国際空港公社の保安検査員の直接雇用化の発表をめぐり、「公正性」についての論争が続いているが、その背景には、正規労働者と非正規労働者の二極化に象徴される「労働市場の二重構造」問題が存在しているという診断が出ている。さらに、民間部門でこれといった改善がない中、政府が正規職化政策を展開してきた公共部門の雇用に注がれる関心ばかりが過度に高まっているという解釈が加えられている。  非正規労働者問題の解決は、文在寅(ムン・ジェイン)政権の100大国政課題の一つ「差別のない良い職場作り」に当たる。政府は正規と非正規の格差を解消するため、「公共部門の非正規労働者の正規職化」や最低賃金の引き上げなどを通じた「賃金格差の是正」を主要政策として進めてきた。前者は政府が「使用者」である公共部門で非正規雇用を減らすことで民間企業の「雇用の質」の改善を誘導するという趣旨であり、後者は低賃金労働者の比重の縮小と正規・非正規の賃金格差の是正が目的だった。最低賃金は2018~2019年に10%以上引き上げた結果、正規職(従業員数300人以上の事業所)に対する非正規(300人未満の事業所)労働者の賃金(時給換算)は、2017年の40.3%から昨年は42.7%にまで改善するなどの効果が現れた。  しかし、非正規労働者問題の解決の呼び水になると期待されていた公共部門における非正規の正規職化政策は、公企業外部の「質の高い雇用」の拡散につながらないという限界を露呈した。政権初期にサムスン電子サービスの家電製品設置・修理技師ら約8000人とSKブロードバンドのインターネット設置・修理技師約5000人がそれぞれ直接雇用と子会社による雇用により正規職化されたが、その後は民間企業においてこのような試みはそれほど活発に行われていない。  こうした脈絡から今回、公共部門でなければ「良い働き口」を見つけることが次第に難しくなっている就活生たちの不満が、大きく浮き彫りになったものという分析が出ている。ソウルのある大学の匿名の教授は、「(民間企業は)経験や資格のある人だけを少人数採用し、新規採用の門は狭いため、就活生の相当数が公企業への入社という目標にしがみつくようになっている。労働市場全体を見ると、彼らが就職できる『良質の正規職』の雇用が増えないのが問題」と診断した。ソウル科学技術大学のチョン・イファン教授(社会学)は、「公共部門の正規職化政策は、政府の立場からはもっとも容易に進められるため、政権が革新か保守かを問わず推進されてきた。しかし、民間の変化がなさすぎるため、これまでも相対的に条件の良かった公共部門の雇用がさらに改善され、ともすれば特権化しているように見えるというところで、政策の限界が露呈している」と述べた。  このため、根本的には政府が公共と民間を統合する、労働市場の格差解消のための政策を総合的に検討すべきという指摘が出ている。韓国労働社会研究所のノ・グァンピョ所長は、「韓国は、同じ事業所で働いているなら同一賃金を受け取るべきだという認識が強く、同じ業務でもどの職場で働くかによって賃金が決まるため、事業所ごとの賃金格差が広がる」と指摘した。  公共部門が「模範」を示しても改善されない民間企業の非正規問題を解決するためには、非正規労働者の使用理由を厳しく制限するか、少なくとも期間制労働者の使用期間制限の例外(期間制限なしに使用可能な18の理由)の範囲を縮小する法改正が行われるべきだという声も出ている。昨年8月には、正義党のイ・ジョンミ議員(当時)らが「非正規使用制限4法」(労働基準法、期間制法、職業安定法、派遣法の各改正案)を発議したが、国会で審議されぬまま廃案となっている。韓国労働社会研究所のキム・ジョンジン副所長は、「過去10年あまり、民間部門における非正規労働者の正規職への転換率は10人に2人に満たないのに、経営側の反発が大きく、非正規労働者の使用理由を制限する法改正が前期の国会で成立しなかった」と指摘した。 ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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