リチウムイオン電池の液漏れ防ぐ、電解液を添加剤でゲル化
第一工業製薬が発売
第一工業製薬は7日、2025年にリチウムイオン電池(LiB)の電解液をゲル化する添加剤「エレクセルACGシリーズ」を発売すると発表した。主に車載用に販売予定。サンプル評価が進展しており、年300キログラムのパイロットスケールでの生産技術開発にめどをつけた。商業生産は28年頃を予定しており、四日市工場霞地区(三重県四日市市)に数億円を投じて年数トンのプラント新設を想定する。電解質分野の現在の売上高はわずかだが、30年に30億円規模を目指す。 エレクセルACGシリーズは電解液に2%添加して使う。加熱前は流動性が保たれるため、既存のLiBの注液工程にそのまま適用できる。加熱処理後はゲル化し電解液が漏れるリスクを低減できるだけでなく、各部材の密着性が高まり機械強度が向上する。安全性の要求が高い車載向けを中心に提案する。円筒形LiBよりもパウチ型との相性が良いという。 LiBは可燃性の有機電解液が使われるため発火や液漏れが課題となっており、LiB設計の工夫や難燃剤の添加などの対策が講じられてきた。安全性の高い次世代蓄電池の全固体電池だけでなく、ゲル状のポリマー電解質の研究開発も盛んだ。第一工業製薬は液体電解液を含まないドライ系ポリマー電解質の開発や、ディスプレー部材用帯電防止剤の電解液への横展開などを進めている。