「ラピュタの壁」きれいに 鋸山産業遺構の石切り場跡 日本遺産候補認定で弾み
千葉県富津市と鋸南町にまたがる鋸山(329メートル)で26日、地元の市民団体が同市金谷側の石切り場跡の絶壁に繁殖したツタはがしと樹木の伐採作業に取り組んだ。昨年の日本遺産候補地域認定が弾みとなり、本認定に向けて年に1度の恒例の景観保全活動となった。 かつて房州石の産地として知られた鋸山の石切場跡は、台場や海堡などの石材を搬出した日本の近代化を象徴する産業遺構。2019年秋の台風で被災したが、地域活性化を目指して地元有志による「鋸山復興プロジェクト」が続く。今年は、「ラピュタの壁」と呼ばれて人気を集める絶壁と崖下周辺が作業現場となり、ツタや樹木による石の劣化から守るため、作業が展開した。27日も行われる。 山岳レスキューの第一人者で登山家の堤信夫さん(70)ら専門家チーム7人が協力し、ボランティアと合わせて総勢約40人が参加。堤さんら登山家は崖の上からロープで降下しながら成長したツタや樹木を切り落とした。崖下では、ボランティアたちが、チェーンソーやのこぎりで繁茂した木を伐採していった。 鈴木裕士代表(61)は「恒例の作業だが、たくさんの皆さんの協力がありがたい。日本遺産候補地域となり、これから進むべき道筋が見えてきた」と話した。