課題だらけの大学入試「オンライン面接」 文科省から配慮依頼も
2021年度大学入試は、総合型選抜(旧AO入試)に続いて、学校推薦型選抜(旧推薦入試)の合格発表が始まりました。今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、こうした選抜の面接を、急きょオンラインに切り替える大学も、少なくありませんでした。そのため一部では、混乱があったのも事実です。オンライン面接は、遠隔地からも受験できることから、「ウィズコロナ」の非常事態にとどまらず、感染拡大が収束したあとの「ニューノーマル」(新しい日常)にふさわしい入試の在り方として、今後とも定着していくかもしれません。今年の混乱を教訓に、何を考えるべきでしょうか。
調整なく高校を会場に指定するケースも
国公私立高校などの校長でつくる全国高等学校長会(全高長)は、10月22日、文部科学省に要望書を提出しました。都道府県の協会長を通した調査の結果、オンライン面接にさまざまな課題があることがわかったといいます。そこで文科省に、実態を把握するとともに、各大学に指導や助言を行うよう求めました。 全高長では、調査から浮き上がってきた課題として、▽生徒の自宅を試験会場とする場合、必ずしも静かな環境が整っているわけではない▽高校を会場に指定してくる大学も多いが、ほとんどは事前に高校との調整がなされていない▽高校を会場に土日に実施するにしても、既に学校行事や保護者会が入っていたり、教職員が出勤せざるを得なくなったりする▽生徒がオンライン対応に不慣れで、普段の力を十分発揮できるか不安を持っている……などを挙げています。
文科省は5月の通知でも配慮求める
オンライン面接をめぐっては、文科省が5月に出した通知の中で、ICT(情報通信技術)を活用した個別面接やプレゼンテーションなど、多様な選抜方法を工夫するよう、各大学に求めていました。この時点でも、「利用環境の差異や技術的な不具合の発生等によって、特定の志願者が不利益を被ることのないよう、代替措置などの配慮を行うこと」と注意を促していました。 しかし、「入試要項を公表した後で、コロナ禍への対応のため試験内容の変更・追加や応募条件の変更をした例」(全高長調査)もありました。 文科省は9月にも、オンラインによる選抜実施について、改めて配慮を依頼する文書を、各大学に送っていました。この時点でも、一部の高校関係者から心配の声があったとしています。