辰吉ジュニア本当の実力は?TKOで10連勝にもカリスマ父は「どんくさい。ぶさいく」と辛口評
元WBC世界バンタム級王者、辰吉丈一郎の次男、寿以輝(22、大阪帝拳)が22日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で 平島祐樹(35、三松スポーツ)とスーパーバンタム級8回戦を行い、1回に2度のダウンを奪う圧倒的な内容で3回2分39秒にTKO勝ちし、2015年のデビューから10連勝を飾った。陣営は、来年にも日本ランカー入りを狙い、日本タイトル挑戦を実現したい考えだが、観戦した父は「どんくさい。こぢんまりまとまりすぎて面白くない。タイトルなんてまだ無理」とバッサリ。続けて「もっと左を使え」「得意パターンを作れ」と今後の課題を与えた。天才型の父とは違い、努力型のジュニアは、まだ22歳。父という辛口の“名参謀”をバックに確実に進化、成長していることは確かである。
元西部新人王を葬った「硬いパンチ」
これが親父譲りのDNAなのか。 辰吉寿以輝は、左ジャブで削りながら、平島をコントロールしようとしていた、それでもステップバックからパンチを合わせようと対抗され序盤は緊迫していた。そこに研ぎ澄ました矢のような右のカウンターの一撃ーー。 「ずっと練習してきているパンチ。手ごたえがあった」 強い心がなければ打てないパンチだ。 平島の足が揃ってバランスが崩れたのを確認すると、さらに右ストレートから左のアッパーの追い討ちをかけて最初のダウンを奪う。 立ち上がった平島に、今度はメリハリを利かせた強烈な左フックで、ふらふらにして、また右ストレートで2度目のダウンを奪うが、過去12戦でダウン経験ゼロのタフネスはファイティングポーズを取った。 ゴングに邪魔されて仕留めきれない。 「行けるところで倒さんとボクシングは怖いと思うから」 筋肉がほぐれた辰吉は2ラウンドは全開でGO。ラッシュをかけて、また左フックがバチンとあたるが、平島はこらえ、ズルズルと試合は3ラウンドへ。それでも、辰吉は強引なボクシングは選択せずに小さなパンチを連打でまとめた。右ストレートが、またヒット。平島がガクンとのけぞって後ずさりすると、レフェリーが割って入り試合を止めた。 「相手も倒れたことがないと聞いていたので意識していた。死にもの狂いできたけど、倒せて勝てたのはよかった。前よりは、おもろい試合は見せられたかな」 腫れた左の拳を氷嚢で冷やしながら辰吉は遠慮がちに答えた。父と違い、どこかシャイなのだ。。 灰色の細長いロッカーが並ぶ敗者の控え室を覗く。キャリア3敗目を喫した35歳は、目を真っ赤にして、黒いベッドの上に座ってうなだれていた。 「悔しい。楽しかったけど、やっぱ悔しい。辰吉君は強かったです」 2016年の西部日本スーパーバンタム級の新人王。ここまで9勝(3KO)2敗1分けの平島は、2度倒された。 「パンチが硬いんです。何がおきたかわからなかった」 目の調子が悪くスパーリングをほとんど消化することができずに福岡から大阪へ乗り込んできたが、辰吉ジュニアは想定と違っていたという。 三松スポーツジムの松尾友徳会長が言う 「もっと左のスピードがないと思っていたんだけど、スピードがあった。1ラウンドから3ラウンドまで試合を作れればなんとか勝てると思っていたんだけどね」 平島も、「足を使おうと思ったけれど使えなかった。左が速くて合わすことができなかった」と会長の言葉に同意した。左ジャブに翻弄され「硬い右」の餌食になったのだ。 辰吉寿以輝の現在地について意見を聞くと、松尾会長は、「一度もダウンしたことのない平島を倒すんだから、間違いなく日本ランカーレベルにはある」と断言した。