目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くその正体
<真っ白な動物を目撃した夫婦が地元メディアに提供した映像は、専門家をも困惑させている。キツネに似ているが、詳細な種の特定にはまだ至っていない>
オレゴン州ポートランドに住む男性が、妻と出かけた朝の散歩で驚きの光景に遭遇した。小さな純白の動物は、それまでに見たどんな生き物とも違っていた。 【動画】真っ白なキツネ? その正体は リチャード・メリング(64)が謎の生き物を見かけたのは10月9日、セルウッド橋の西側だった。 「間違いなく野生だった。子犬のように見えた」。メリングは「The Oregonian/OregonLive」にそう語っている。その動物は「大はしゃぎする子犬みたいだった」といい、捨てられて風にあおられたビニール袋に嬉しそうに飛びついていた。 それでも、真っ白なこの生き物が犬でないことはすぐに分かった。 夫婦は十数メートルほど離れた場所で立ち止まり、メリングがその光景を動画に収めて地元メディアに提供した。映像を分析したオレゴン州魚類野生生物局の生物学者は、映っているのがキツネだったことを確認した。ただ、キツネの種類については専門家も頭をひねっている。 同局の西部地区広報を務めるベス・キリアンは本誌の取材に対し、「ポートランドで先週目撃された動物は確かにキツネのように見える。白変種はハイイロギツネよりアカギツネに表れるのが一般的だが、耳と口先は典型的なアカギツネのようには見えない」と解説した。 「この動物は、我々の地域に生息する野生のキツネよりもホッキョクギツネに近いように見える。飼育されていた何らかの交雑種が逃げ出した可能性もあるが、野生の白変種の可能性も否定できない」 ホッキョクギツネはもともとオレゴン州には生息していない。生物多様性センター(CBD)によると、北米の生息地はアラスカ州とカナダのみ。冬になるとホッキョクギツネは白く長い毛に覆われ、夏には灰色から青っぽい茶色がかった短い毛に生え変わる。 一般的に体長は90センチ、体重は5.4キロほど。生息地はツンドラ地帯や沿岸部、流氷、森林限界の北側を好むとされ、ポートランドの鉄道橋にいたとすればさらに不可解になる。 逃げたペットの可能性や交雑種の可能性もあるものの、野生生物の専門家は確固たる結論を出していない。 魚類野生生物局は調査を続けているが、現時点で新しい情報は入っていない。逃げ出した外来種のキツネだったのか、それとも地元に生息する珍しい白変種だったのか。ポートランドの住民も野生生物専門家も好奇心は尽きない。
トム・ハワース