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世界初! 牛の糞尿からメタノールの製造に成功!

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TOKYO MX

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、化学講師の坂田薫さんが、北海道興部(おこっぺ)町と大阪大学による研究について解説しました。 ◆牛の糞尿から“夢の燃料”が!? 北海道興部町と大阪大学は、牛の糞尿から発生するバイオガスからメタノール、ギ酸の製造に世界で初めて成功したことを発表。生乳の品質が落ちる原因だった糞尿処理と、エネルギー調達の課題を同時にクリアでき、今後5年以内を目標に量産化を目指すとしています。 坂田さんによると、北海道の酪農地帯では離農者が相次いでおり、近年酪農家の集約化が進んでいると言います。そして、それに伴い人手不足も問題となっていて、「牛乳の3倍もの量の糞尿が排出されるらしいんですけど、それが処理しきれていなかった」と現状を語ります。 そんななか、牛の糞尿からメタノールとギ酸を生成することに世界で初めて成功。生成物のメタノールは、燃料電池の燃料として使われている工業用アルコールで、現状では国内生産できておらず、完全に輸入頼みなものだとか。 それだけに今回の研究がさらに進んで量産化が可能となった場合、「北海道全体の牛の糞尿を利用すると、日本で使われるメタノールの約20%をまかなえるんじゃないかと言われている」と坂田さんは期待を寄せます。 一方、ギ酸は牛の飼料を水分調整する添加剤として使われていましたが、「ギ酸から水素を取り出す技術が開発されていて、これが進むとこれからの水素社会に大きく貢献することができる」と可能性を感じている様子。 ◆世界で初めて成功した要因は? 今回の研究のように牛の糞尿のバイオガスからメタノールを生成することは、難易度が非常に高いとされていて「“夢の反応”と言われ、世界中の化学者がチャレンジしていた」と言います。 通常、メタンガスと酸素を反応させると二酸化炭素と水に変わってしまうそうですが、「これをメタノールにするためには、酸素を違う物質に置き換える方法もあるが、それだとコストがかかってしまうので、どうしても空気中の酸素にこだわる必要があった」と完成までの背景を説明。 今回、牛の糞尿からメタノールを取り出すことに成功したポイントとなった物質は「二酸化塩素」。殺菌消毒剤として使われている二酸化塩素に着目するきっかけは、「『どうして二酸化塩素に殺菌消毒剤としての機能があるのか?』という企業からの相談を受けたことらしくて、その相談と真摯に向き合うことで、今回の成功に辿り着いた」と話します。 総じて、坂田さんは「違うフィールドから情報を得てみよう」と提言。今回の研究に携わっている大阪大学の大久保教授がある記事で述べていたという「化学者なら医学書を読んでみるように、自分のフィールドとは離れたところから情報を得て、それを自分のものとして取り込み、全く新しい仮説を立てることが重要。これを突き詰めると、新しい発見が生まれることは間違いありません」との発言を引き合いに、「今日をきっかけに、今まで自分とは関係のなかったフィールドに少し興味を持って、話を聞いてみませんか?」と呼びかけていました。 矢野経済研究所 社長の水越孝さんは、「北海道の牛の糞尿で2割(のメタノール)がまかなえるのはすごいこと。一方で、酪農を維持していくことも同時に考えていかないと。日本の酪農が衰退していくと、その牛さえいなくなっていくという状況は好ましくない」と感想を述べつつ、「どういう日本を目指していくのかを、再生可能エネルギーなどの視点から問い直すことで、また違った見え方ができるのでは」と話していました。

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