創業97年の歴史に幕…美術愛好家に愛された狸小路の老舗が閉店へ 北海道
北海道放送(株)
再開発が進む札幌の中心部で、90年以上にわたって市民に愛されてきた老舗がまた1つ消えようとしています。 狸小路のゲームセンターの2階にその店はあります。「松山額縁店」です。店の名のとおり「額縁」、そして額縁に収める「絵画」を取り扱う美術店です。 「こちらのスペースは、油絵、日本画を入れる額縁のスペースになっています。だいたい絵画で1500点くらい。額縁だけだったら1000点くらいあるんじゃないですか」(松山額縁店・松山真也社長) 松山真也(まつやま・しんや)さんは、店の3代目。松山さんの祖父が東京で創業して、今年で97年。札幌に店を構えて93年、暖簾を守ってきました。 「昔から例えで言いますけど『衣装』のようなもので、中が良くてもそれを生かすも殺すも額縁で変わる」(松山額縁店・松山真也社長) 「額縁といえば松山さん」と、画家や美術愛好家に親しまれ、札幌と近郊の学校で使う額縁や画材も引き受けていました。 しかし、近年、額縁や絵画は、インターネット通販が主流に。安い額縁が流通し、価格競争が激しいところに新型コロナが追い打ちをかけました。 「コロナというのはどうしても避けられないと思います。お客様がコロナで街に出てきたくないという気持ちが当然わかりますし…」(松山額縁店・松山真也社長) 今月末で店を閉じることを決断。今は、最後のセールをしながら馴染み客たちを迎えています。 「どうするかな、これはちょっとおしゃれにしてあげたいな。これはナラの額なんですけど…」(松山額縁店・松山真也社長) 「あっ、かっこいい、映えますね」(女性客) 創業から一貫して客との対話を大切にしてきました。作品への思いや、飾る場所の風景を読み取り、1000点以上ある在庫から作品に合った「額縁」を選びます。 「見せていただいて、さすがだなと思って、しっくりきました。ずっとずっと飾っていくつもりです」(女性客) 「『おうち時間』で絵をやる方は増えてきている。アドバイスしてくれる店はなかなかないので、そういう面では寂しいかなと思います」(男性客) 「額縁という字の縁の字は縁側の縁という字、その賞状、写真、絵画と、お客様と縁があった。縁を持たせてもらって97年間、3代にわたってやらせていただいたんだなと思っています」(松山額縁店・松山真也社長) 狸小路から「縁あって」送り出された「額縁」は、これからも持ち主たちの人生を彩ります。 ※松山額縁店の店舗の営業は今月28日までです。ただし、残務の処理のため正式の廃業は来月31日となります。 2月18日(木)「今日ドキッ!」午後5時台
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