なにわ男子 西畑大吾の“生きててよかった”瞬間「5万5000人の前に立ったとき、ずっと終わりたくないと思いました」
『劇場版ドクターX』は一つひとつのセリフやシーンが“濃い”映画
現場で初めて「私、失敗しないので。」を耳にした瞬間は「涙が出そうになった」という西畑。そんな彼に、撮影現場で“絶対に失敗しないくらい自信がついたこと”を訊いてみた。 「『手術で失敗する演技』を失敗しない自信がつきました!(笑)『劇場版ドクターX』では、僕はエリート医学生というよりポンコツ研修医になっているので、手術で絶対にやってはいけないミスをするシーンがあるんです。歴代シリーズでも『あ!』って手元が狂って血が噴き出してしまうシーンがあると思うんですけど、代々やってきた失敗シーンを受け継がせてもらいました。監督からも『リアクションが良い!』と褒めてもらえましたね」 手術シーンは、手元の細やかな動きまで映る繊細なシーン。西畑も例に漏れず、ピンセットなどを駆使しながら縫う練習を重ねた。自宅でも現場でも練習する姿に、なにわ男子のメンバーからは怪しまれたらしい。「裁縫でも始めたんか? って言われたりして」と当時の様子を思い出す西畑の表情から、常に彼は別の現場にいてもチームのことを考えているのが伝わってくる。 「『劇場版ドクターX』、一つひとつのシーンが本当に濃いんですよ。ひとつの映画によくぞここまで詰め込んだな! って思うくらい。一難去ってまた一難、落ち着く暇を与えません。僕も一視聴者として観させてもらって、これまでのシリーズのファンの方はもちろん、初見の方にも楽しんでいただける素晴らしい作品になっていると感じました。大御所の皆さんのアドリブも、まあすごくて……」 とくに西田敏行さんのアドリブが、もう、と話しながら思い出してしまうのか、笑みが絶えない西畑。「西田さん、ほとんどアドリブだったんちゃうかな。西田さんが撮影しているのを見させてもらっているあいだ、笑いを堪えるのに必死でした」と振り返る様子は、いかに本作での撮影現場が実りあるものであったかを語っている。
5万5000人の前に立つ経験「やっぱり、この仕事はおもしろいなって」
取材中、繰り返し特別ドラマ『ドクターY』ならびに『劇場版ドクターX』の魅力を熱弁する西畑。「『ドクターY』を観ていないと、僕が演じた東村練くんに『誰!?』ってなってしまうので、ぜひ合わせて観ていただきたい! もちろん劇場版だけでも存分に楽しめるんですけどね」と場を緩ませてくれる。『ドクターY』では、西畑演じる東村練がどんな人物なのか、その背景についても描写されているので、ファンは必見だ。 予期せぬハプニングはもちろん、難易度の高すぎる手術を華麗にこなしてみせる大門未知子の手腕が魅力のひとつである『ドクターX』シリーズだが、コミカルなシーンに絶妙なバランスで混じり合う「命の大切さ」に肉薄する様も見所。最後に、西畑がこれまでの人生で、命の大切さを実感するような瞬間について水を向けると「やっぱり、大阪でのスタジアム公演です」との返事が。 「本当に、一昨日くらいに終わったばかりで。一昨日の僕、スタジアムで5万5000人を前にしてたって考えると、変な感覚ですもん。ほんまに、なんて言ったらいいんやろ……。スタジアム公演って、こんなにすごい景色が見られるんだなって思いました。割れるような歓声を浴びせていただいて、皆さんの前で歌って踊って。ここまで連れてきてくれた先輩方、スタッフの皆さん、ファンの皆さんに感謝しかないですし、ずっと終わりたくないって思ってました。生きててよかった、この仕事を頑張ってきてよかった、って」 公演後、自宅に帰ってお風呂の浴槽を洗っている瞬間「いや、緩急すごいな」と思ったという。そのギャップも含め、あらためてこの仕事のおもしろさや魅力に気づいた。華々しく輝くステージ上でのエピソードのみならず、親近感の持てる日常についても開示してくれる。そんな一面が、どんな現場でも自然に溶け込み愛される、西畑の愛嬌の所以なのだろう。 (撮影/梁瀬玉実、取材・文 北村有、ヘアメイク/yuka(JOUER)、スタイリング/井元文子) 『劇場版ドクターX』 12月6日(金)より全国公開 監督:田村直己 脚本:中園ミホ 出演: 米倉涼子 田中圭 内田有紀 今田美桜 勝村政信 鈴木浩介 染谷将太 西畑大吾 綾野剛 遠藤憲一 岸部一徳 西田敏行