富国製糖搬入開始 新植面積減少、単収低下 2期連続の減収見込む 鹿児島県奄美大島
鹿児島県奄美市笠利町の富国製糖㈱奄美事業所(有村成生社長)は12日、2024/25年期サトウキビの原料搬入・製糖を開始した。生産量は2万4300㌧を見込み、前期産を2166㌧下回る見通しで、2期連続の減収を見込んでいる。新植減による収穫面積の減少、台風被害などによる単収の低下が影響している。 6期連続の年内操業。製糖期間は来年3月19日までの98日間(圧搾日数は同17日終了の63日)を予定。1日あたり圧搾量は400㌧を予定する。収穫面積は531㌶で、前期比3㌶減少。中山正芳所長によると、新植の夏植えや春植え面積が減少。平均単収(10㌃あたり)は前期の約5㌧から約4・5㌧と大幅に低下する見通し。 市町村別の生産見込み量は、奄美市笠利町2万3231㌧、龍郷町1019㌧、同名瀬地区50㌧。初日は298㌧(前期279㌧)を受け入れ、平均甘しゃ糖度は12・62度(同15・05度)。最高14・2度、最低10・2度だった。 11月1日の最終生育調査では、茎長は夏春株出し平均で前期比6・9㌢増、茎数が同5・3本減となり、茎長は若干のプラス、茎数は若干のマイナスとなっている。品質を示す登熟状況でブリックスは17・0度(11月25日現在)と前年同時期の18・8度を下回っているが、10~11月気温の高さで登熟が遅れているものの、12月に入り気温が低下していることから、今後の寒暖差により回復が期待されている。 原料搬入式でのあいさつで、有村社長は「生育低迷の要因の一つに台風10号、13号被害(倒伏・葉部脱落等)があり、約1635㌧の減収と想定している。操業期間中には、数日間の春植え推進・株出し管理推進期間も設定することから、早期のほ場の植え替えや早期の株出し管理に努めていただき、来期は増産をお願いしたい」と呼び掛けた。また、経営環境に触れ「製糖会社への島別交付金は5年連続で減額され、富国製糖ではトンあたり合計で約2万円減額されており、前期に続き2期連続の赤字となる見込み。採算ラインとして2万8000㌧が必要」と訴え、会社の経営を安定させ存続していくためにも増産への理解を訴えた。 安田壮平奄美市長、竹田泰典龍郷町長のあいさつもあり、行政として生産量の回復に向け取り組むとした。 操業期間中の春植え・株出し管理作業推進は1月18~23日(6日間)、2月5~11日(7日間)、同25日~3月2日(6日間)と3回にわたって行う。