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トルコのノーベル賞作家が怒っている理由とは? オルハン・パムク氏 コロナ禍で考えた人生、アヤソフィアのこと

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 トルコのノーベル文学賞作家オルハン・パムク氏(68)が怒っている。生まれ故郷イスタンブールの世界遺産アヤソフィアがイスラム教のモスク(礼拝所)となったためだ。イスラム教を重視するエルドアン大統領が7月に決定したことだった。異なる宗教が共存してきた歴史的建造物であるだけに国際社会の反発は大きかった。しかし、トルコ国民はモスク化を受け入れているようで、公然と異を唱えるのはパムク氏ぐらいだった。なぜなのか。コロナ禍に何を考えたのか。インタビューに向かった。(イスタンブール共同=橋本新治)  ―アヤソフィアは6世紀にギリシャ正教の大聖堂として建設され、15世紀のオスマン帝国時代にモスクになった。20世紀のトルコ共和国の建国後は、世俗主義を推進したアタチュルク初代大統領の決定で博物館になった。アヤソフィアはトルコ人にとって何を象徴しているのか。世俗主義の象徴なのだろうか。  トルコ人にとって何の象徴でもない。トルコ人にとって世俗主義の象徴と言えば、間違いなくアタチュルクだ。ただ(博物館と決定した当時の政府には)国際社会に世俗的なトルコの象徴としてアピールしたかった部分はあるかもしれない。イスタンブールのトルコ人にとっては日常生活の一部だ。

 ―世論調査ではモスク化に賛成の声が多く、アタチュルクが創設した世俗主義政党で現在の最大野党、共和人民党(CHP)でさえ反対しなかった。  私が会う人のうち4割は賛成、3割が反対、2割は答えないといった感じだ。賛成が過半数というわけではない。イスラム保守系の与党が政治情勢を支配し、誰も反対と言い出せない雰囲気だった。CHPにとって世俗主義は何十年にもわたって唯一のアジェンダ(取り組むべき検討課題)だ。しかし、彼らは「これは宗教的な問題だ。この問題に踏み込むと、多くの票を失う」と考えた。CHPは前回のイスタンブール市長選で55%を獲得したのにもかかわらず、おびえ、怖がり、そして間違った。声を上げず、モスク化を気に入ったふりさえした。エルドアン大統領は(賛成か反対かで世論の)分断を狙い、CHPは大きくなりすぎた宗教問題をどう扱ってよいのか分からなくなり、逃げ出したのだ。世俗主義はトルコ人の精神、近代性、文化において、憲法に定められるほど重要なことなのにCHPは無視した。エルドアン大統領は熱烈な支持者に向けて「私は権力者だ。何でもできる」と強調し、みんながおじけづいた。

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