故・藤井さんの遺影の横で涙を流す日本のフィリップ・ブラン監督。右は西田有志（撮影・吉澤敬太）

　「パリ五輪・バレーボール男子・準々決勝、日本２－３イタリア」（５日、パリ南アリーナ） 【写真】夫たちのフルセットの死闘、じっと両手を合わせて祈るように見つめる古賀紗理那の顔が切なすぎる 　２大会連続で８強入りを決めた世界ランク６位の日本は同２位のイタリアとフルセットの死闘の末、２－３で敗れ、１９７６年のモントリオール以来４８年ぶりの４強入りはならなかった。目標としていた１９７２年ミュンヘン五輪以来５２年ぶりのメダル獲得の夢には届かなかった。 　５２年ぶりのメダルへ、あと一歩だった。序盤から１次リーグで不振が続いた石川祐希主将が躍動。気迫あふれるプレーで強烈なスパイク、テクニックを駆使した巧打を決めると、西田有志、高橋藍も続き、イタリアをあと一歩まで追い詰めた。　だが、第３セットは２４－２１からあと１点が奪えず、ここから逆転負け。イタリアの底力に屈した。 　今大会限りでの退任が決まっているため、試合後は胴上げされたブラン監督は「取れそうなところで取れなかった。準決勝に進出する夢がなくなり、また監督としても最後。寂しい気持ちです」と涙。「もう少しで取れそうだったが、チームでやってきたことは誇りに思っています。負けたことは残念」と振り返った。 　ネーションズリーグで準優勝するなど、日本を世界トップクラスの強豪に引き上げた指揮官。金メダルを目標に掲げてきたが、「準決勝に進出するための上のレベルに進出することはできず悔しいが、いいチーム作りはできたと誇りに思う」と胸を張った。 　泣きながら言葉を伝える通訳を優しく抱きしめたブラン監督。「これからは日本の一番のファン。このチームで戦えたことは誇り。日本が世界トップと戦えることを証明できた」とうなずいた。