大阪・関西万博 大屋根リング“幻想の光” 浮かぶ試験点灯 「帰り際、何度も振り返りたくなる…」
大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)の会場・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)のシンボルとなる世界最大級の木造建築物「大屋根リング」のライトアップ・試験点灯が21日夜、行われた。 【画像】大屋根リング つながる試験点灯 ライトアップは、今年(2024年)8月にリングが文字通り環状の構造物としてつながって以来初めて。 暗闇の中、全周約2キロにわたる“光の輪”が幻想的に浮かび上がった。 大屋根リングは「多様でありながら、ひとつ」という万博の理念を表現、建築家で会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏が手掛けた。23年6月末に着工、三つの工区に分けて建設が進められている。約2万6000立方メートルの木材を使用している。 日本の伝統的な技術「貫(ぬき)工法」を基調とした木組みに、通路を照らすスポットライト計約4200台と、天井を照らすアッパーライト約700台が設置された。 すべてLED(発光ダイオード)を使用しており、屋上部分(高さ20m)に設けた植栽帯にも、LED光源を持つ“イルミ草”と呼ばれる照明草約500本も配置されている。 桜色に薄い紫、うぐいす色や深紅など、リングの上に設けられた遊歩道(高さ12m)では、開催期間中の二十四節気を表現した色が点灯される。数分ごとに足元を流れ星のように光が走り、趣向を凝らしたライトアップが披露された。 大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会によると、年内にはエレベーターやエスカレーターの設置が終わり、屋上の植栽も整えられる。来年(2025年)2月に完成、4月13日の開幕を迎える。 藤本氏のほか、照明デザインディレクターを務める照明デザイナーの東海林(しょうじ)弘靖氏も参加し、照明が正常に作動するかを確認した。「コンセプトは『新しい夜』。単に明るさを求めるのではなく、人や生物、地球環境が持続可能であるために、貴重なエネルギーに感謝しながら、丁寧に光の環境を創造しなければならない」と訴える。 そして「それぞれの季節のシンボルとなるような色合いをふんだんに使った。優しい光から万博のテーマ『命かがやく未来社会のデザイン』を感じていただければ。また、昼から夜にかけての会場全体の色の変化に注目してほしい」と話す。 会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏は「1970年の大阪万博とは大きく異なり、持続可能な社会、自然との共生、多様性の尊重が重要になっている。木造建築は世界的にも注目されている。このリングだけではなく、イタリアやチェコ、アイルランドのパビリオンも木材を基調としている。昼だけでなく夜も、リングが大きなゲートとして来場者を迎え入れてくれる。そして、パビリオンも含めた夜の風景も楽しみ、会場を後にする時、何度も振り返りたくなるような美しいライトアップになっている。」と話した。 開幕後、リングの点灯は日没~22時(期間中の開場時間は9時~22時)。
ラジオ関西