両親は中卒で…「医学部合格」できたのは不思議なことではない
医学部合格に必要なものとは何か。世間では両親の学歴や能力が子供に大きく影響すると考えられているため「親が高学歴であること、留学経験や難関私立校に通うことが必須」という認識が強い。しかし、それらの条件とは一切無縁のまま医学部合格を果たす強者も存在する。中卒の両親のもとで育ち、小中高ともに国公立で学んだ筆者は、なぜ合格できたのか? ※本連載はすずきこどもクリニック院長・鈴木幹啓氏の書下ろしによるものです。
「中卒両親の子供が難関大合格!?」という不可解な反応
あるバラエティ番組で「中卒両親から生まれた東大生はいるか?」という切り口で、制作ディレクターが取材して、それをスタジオでタレントが観覧してコメントするというものがありました。 数々の東大生に質問するも見つからず、やはりいないと思ったそのとき、両親が出来婚で高校を中退したという東大生をようやく一人発見した、という内容でした。 私はこの切り口に違和感を覚えました。私の両親は高校入学すらしていません。それからすると、医師になった私は特異なのでしょうか? そもそも親に学歴がないと子供は医学部に合格できないのでしょうか?
「勉強時間を制するものが、医学部合格を制す」
親の所得で子供の学歴に差が生じることはよく知られている事実です。考えてみれば当然の話で、所得によっては費用を用意できず、十分な教育を受けられないからです。その点で言うと、私の両親は中卒ながら公務員の給与水準より上だったことが幸いでした。欲しい参考書は買ってもらえまし、塾にも通わせてもらえました。しかしそれでも、海外留学や私立中高一貫の難関校への進学などは頭の片隅にさえなかったようです。 公立の小中高に通い、医学部に合格するためには、やはり勉強時間を確保することが必須となってきます。少なくとも私が医学部に進学したいという強い気持ちを持っていたことが前提にあります。 時間のコントロールを制すれば、たとえ両親が中卒でも、地方都市でも、公立学校でも、医学部合格は可能です。私が実践済みです。 両親は自営業でしたので、土日も仕事でほとんど旅行に行った記憶はありません。しかし、よく自己分析をしてみると、それがよかったのだと思います。 なぜ、旅行に行けない環境が「よかった」と言えるのか。それはリフレッシュの仕方に制限があったからです。丸々1~2日間、家族でどこかへ行って、勉強時間をロスすることがなかったからです。