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社説:Go To の混乱 中小に恩恵回る工夫を

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京都新聞

 またも繰り返されたドタバタ劇である。  政府の観光支援事業「Go To トラベル」を巡り、宿泊割引を扱う旅行会社に予算枠が追加配分されることになった。  申し込みが集中して予算枠が足りなくなった大手旅行サイトなどが、割引額の縮小や利用回数の制限を始めたのを元に戻すためだ。  国土交通省は今後、継続的に予算を配り、旅行代金のうち35%、1人当たり最大1泊1万4千円の割引を全ての旅行会社で提供し続けられるようにするとした。  これを受けて各社は制限を解除して販売を再開。制限中の購入者も、予約を取り直せば元の割引率とする救済策もとられるという。  赤羽一嘉国交相は「国民に混乱を生じさせ、心配をかけた」と釈明した。予約先によって割引が異なる状況は解消されるとはいえ、1兆円を超える巨額の公費を投じながら場当たり的な政策運営が目に余る。新型コロナウイルス流行で窮する観光産業を力付けるという政策目的に沿うのか、事業の検証と見直しが必要だろう。  予算枠の不足は、10月から東京発着旅行が割引対象に追加された影響だ。予約が殺到した大手旅行サイトは割引上限を1泊3500円に引き下げたり、1会員1回の利用に限定したりした。京都、滋賀など近畿ツアーの販売中止にも波及しており、予算枠追加で混乱拡大はひとまず避けられる形だ。  問題は、国の事業見通しの甘さと後手の対応が目立つことだ。  もともと予算枠は、旅行会社や宿泊施設ごとの販売計画などを基に、地域や時期が偏らないよう2カ月ごとに割り振ってきた。  だが、予約急増による大手の利用制限を国は事前に報告を受けながら了承し、批判に慌てて撤回へ動いた。運営委託先の公募やり直し、東京発着を巡るキャンセル料の扱いに続く迷走ぶりで、事業主体としての責任感と運営管理能力の欠如を疑わざるを得ない。  一方、大手の予算枠上積みが、中小事業者へのしわ寄せとなる懸念が拭えない。事業を巡っては、高価格帯の宿泊施設や、何度も使える富裕層ほど割引効果が大きい仕組みだと指摘されてきた。地域経済を支える中小事業者や幅広い利用層に恩恵が行き渡る工夫が要る。  コロナ感染の収束は見通せず、GoTo事業の延長論も浮上しているが、公費で旅行需要を肩代わりし続けるには限界がある。コロナ時代に持続可能な観光産業の地力を高める戦略が求められる。

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