米大統領がサムスン電子工場でウェハーに署名、中国半導体の台頭牽制
ジョー・バイデン米大統領が20日午後、京畿道平沢のサムスン電子の半導体工場を訪れた。在韓米空軍烏山基地到着後、すぐに向かった最初の訪問地だった。 世界の半導体業界では、米政府が韓国との経済安保同盟で半導体をどれほど重要視しているかを示している。システム半導体とメモリー半導体、ファウンドリー(半導体受託生産)など半導体市場の三角軸で、サムスン電子を無視できない存在と認識したという説明だ。また、韓米が半導体同盟を通じて米国主導のグローバルサプライチェーン再編を推進し、中国半導体産業の台頭を牽制しようとする意図もあるという分析だ。
○芳名録の代わりに300㎜ウェハーに署名 この日、最も目を引いたのはバイデン大統領が芳名録の代わりに300㎜ウェハーに署名した場面だった。サムスン電子側が半導体安保同盟の象徴になるウェハーを両首脳が初めて会った平沢キャンパス事務2棟に移したという。
李在鎔(イ·ジェヨン)サムスン電子副会長は、尹錫悦(ユン·ソンニョル)大統領とバイデン大統領を随行するために準備した。李副会長はこの日、本来決まっていた裁判に出席せず平沢キャンパスで待機した。ソウル中央地方裁判所刑事合意25-2部はこの日「会計不正·不当合併」関連公判に李副会長の欠席を許可した。
李副会長は、バイデン大統領に世界で初めて開発した3㎚(ナノメートル·1㎚は10億分の1m)工程の次世代半導体を披露したという。3㎚工程は、世界の情報技術(IT)企業が注目している生産ラインだ。 李副会長は半導体生産ライン視察後に開かれた行事で、英語で歓迎の挨拶をしながら両国首脳を紹介した。 彼は「サムスン電子は世界最大でありながら技術的に進歩した半導体生産施設を運営しており、また米国と非常に緊密な経済関係を維持している」として「半導体は世界競争を牽引し、多くの国々がインターネット接近·データベース活用などを半導体を通じて行っている」と話した。 半導体業界では、バイデン大統領の平沢キャンパス訪問で、米国企業のサムスン電子をはじめ、韓国の半導体企業への依存度が高まるものと予想している。実際、米国のグローバル企業は、特にメモリー半導体とファウンドリー依存度が高い。ゼネラルモーターズ(GM)、フォードなど主要自動車メーカーは、車両用半導体の不足で随時生産に支障をきたしている。グーグル、アマゾン、メタなどグローバルIT企業は、サーバー用メモリー半導体だけでなく、独自設計したチップを任せるファウンドリー会社の確保に血眼だ。 メモリー半導体のDRAM市場で、サムスン電子の市場シェアは41.9%(2021年第4四半期)だ。SKハイニックスと合わせると70%を超える。ファウンドリーでは、台湾TSMCに次ぐ世界2位だ。市場シェアは18.3%に達する。専門家たちは、サムスン電子がDRAM市場で事実上独走しているうえ、ファウンドリー部門ではTSMCを牽制する唯一のカードと評価している。 アップル、クアルコムなどもTSMCやサムスン電子などにチップ製造を一緒に任せている。クアルコムのクリスティアーノ·アモン最高経営者(CEO)が、バイデン大統領の平沢訪問に同行したのも、このような半導体生態系を示しているという。 米政府が、サムスン電子を通じて中国半導体の台頭を牽制しているという分析も出ている。TSMCやサムスン電子との関係を強化し、中国の半導体製造能力を制限する狙いだ。中国ファーウェイのアプリケーションプロセッサー(AP)である「キリン」のように半導体設計競争力を備えるとしても、パウンドリーがなければ現実化しにくいという判断からだ。 サムスン電子としても、心強い半導体友軍を得たといえる。米政府の支援を受け、米国にあるグローバル顧客会社を安定的に確保できるためだ。業界関係者は「サムスン電子が、グローバル顧客会社とファウンドリーおよびDRAM半導体価格交渉で声をより一層大きくすることができると期待される」と話した。 尹大統領が、バイデン大統領と共に平沢工場を訪れ「半導体超大国建設」に始動をかけたという分析も出ている。政府は、世界半導体覇権戦争の中で、半導体など未来戦略産業のための中長期ロードマップを発表した。3日に出した「尹政権110大国政課題」で大統領職引継ぎ委員会は「半導体·バッテリー·人工知能(AI)等、先端産業を未来戦略産業として育成する」と強調した。 半導体設備投資の際、果敢なインセンティブを提供し、許認可過程を一元化して処理速度を高めることにした。 これを通じて政府は昨年1280億ドルだった半導体輸出を、2027年1700億ドル(約215兆6000億ウォン)に30%以上拡大する計画だ。
パク·シニョン