集英社『世界の歴史』が22年ぶりリニューアル! 担当編集に聞く「大人が読んでも面白い学習まんが」の魅力とは?
■各先生の表紙イラストへのこだわり ――そして、一番注目されるのはカバーイラストだと思います。人選やオファーはどのように行ったんでしょうか? 加藤 今回『世界の歴史』がリニューアルされる前に、2016年に『日本の歴史』がリニューアルされまして、その時は岸本斉史先生(『NARUTO-ナルト-』)に卑弥呼を描いていただくなど、インパクトがかなりあったと思います。その時に他の編集部との関係性ができたというのが今回非常に大きくて、漫画家の先生方にもご理解いただきやすい状況がすでに出来上がっていました。 例えば、荒木飛呂彦先生(『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ)にナポレオンをお願いしたいというように、各巻にどの偉人を描くか決めたうえで、それならあの先生にお願いしようと決めていきました。 堀越耕平先生(『僕のヒーローアカデミア』)が手掛けた3巻のイラストはカエサルとクレオパトラなんですけど、中身では主にローマ帝国の話をしているので、そうなると2人は少し前の時代の人なんですよね。で、ローマ帝国の人物も加えたほうがいいかと思い、著名な人として最初の皇帝のアウグストゥスがいるんですけど、彼を含めた3人でどうですか?という話を堀越先生にお願いしました。 ただ、やっぱり堀越先生はヒーローをお得意とされる先生なので、「ヒーローとヒロイン」という感じでこの2人を描きたいということで、この2人に決まりました。そんな感じで、こちらのイメージをお伝えしつつも、そこに各先生のアイデアが入り、さらに監修者のアドバイスも入ったイラストになっています。 ――原泰久先生(『キングダム』)は中国文明の巻を担当されていなくていいんですか? 加藤 中国文明についての2巻の表紙は始皇帝なんですよね。だからまだ描いちゃダメですよね(笑)。それに負けないくらいの偉大な王として、1巻でラメス2世を描いていただいています。 ――遠藤達哉先生(『SPY×FAMILY』)のヒトラーとチャーチルは色使いも含めて印象的です。 加藤 近現代になると実際の人物の写真が残っているので、すごく写実的に描いてくださる先生方が多い中で、そのまま『SPY×FAMILY』に出てきそうなイラストで目を引きますよね。 他にも、13巻のレーニンは『ゴールデンカムイ』の世界と近いところにありそうだったので野田サトル先生に描いていただきたいと願っていましたし、甲冑を着た女の子(ジャンヌ=ダルク)はぜひ田畠裕基先生(『ブラッククローバー』)に描いてほしいと思っていました。 逆に意外なところでは、くらもちふさこ先生(『いつもポケットにショパン』ほか)にあまり資料のないフビライ=ハンを自由に描いていただきました。我々が知っているフビライ=ハンの絵よりもシュッとしていて強そうですよね。