『おちょやん』トータス松本の快活さ テルヲは朝ドラレジェンドたちを凌駕する“ダメ親父”?
鶏の流星丸を売りに行こうとガラス工場の峰岸社長(佐川満男)の元に出向いた千代(毎田暖乃)とテルヲ(トータス松本)に、思いもよらない縁で幸運が舞い込む。連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)第3話では、実の母であるサエ(三戸なつめ)の意外な過去が明らかになった。 【写真】テルヲ(トータス松本)と栗子(宮澤エマ) 家出した栗子(宮澤エマ)をテルヲが追いかけて行ってしまったため、千代もまた家事と鶏の世話に追われる毎日に戻ってしまう。だが、やっとテルヲが栗子を連れて戻ってくる。相変わらず母親として千代らの面倒を見る気のない栗子。結局、千代は小学校に行きそびれ、家のことに追われる日々となった。 そんな中、泣き声の美しい鶏の流星丸が高く売れると言い、テルヲは千代を連れて峰岸社長の元へ流星丸を売りに行く。しかし、まわりの鶏は“見た目”の美しさにこだわって育てられた珍しい品種ばかり。門前払いをくらいそうになるテルヲと千代だったが、千代が咄嗟の気転でサエの形見を取り出して見せると、事態は一転する。 実はサエは幼い頃、このガラス工場の奉公人だった。そして形見のビー玉も社長から購入したものだったのだ。この縁が功を奏し、流星丸は無事売れることになる。帰り道、なぜサエと似ても似つかぬ栗子と再婚したのかを千代に問われると、テルヲはふと「似ていたら、思い出してしまう」と本音をもらした。テルヲが栗子を家に迎え入れた今でもサエを大切に思っていることがわかり、千代も安堵の表情を見せる。 テルヲ役で“ダメ親父”ぶりが光る芝居を見せるのはトータス松本だ。ロックバンド・ウルフルズのボーカリストのかたわら、俳優としても様々な作品で活躍する。過去にはNHK大河ドラマ『龍馬伝』、『いだてん~東京オリムピック噺~』などに出演した。歯を見せて大きく笑う姿や、ふらりといなくなっては突然帰ってくるも、千代に叱責される姿は父親とは思えないだらしなさだ。松本はそんな自由人の父・テルヲを笑顔と大胆かつ快活さを前面に押し出し演じる。時にサエを想い遠くを見つめる瞳にはほんの少しの憂いさえにじませた。なんでもはっきりと物申す強さを持つ千代との掛け合いは相性抜群。思わず笑ってしまうようなやりとりも多く、視聴者に朝から元気を届けている。 『エール』では、ちょっと頼りないが一生懸命な父・三郎(唐沢寿明)が主人公・裕一(窪田正孝)のために奔走する姿が父子の絆を感じさせ涙を誘ったものだが、『おちょやん』では、この自由人な父親が、千代とどんな掛け合いを見せていってくれるのか。期待が高まる。
Nana Numoto