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佐賀市バイオマス逆風、CO2販売低迷 「費用対効果低い」議会で批判も

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佐賀新聞

 佐賀市の秀島敏行市長が進めるバイオマス関連事業で、市清掃工場(高木瀬町)の排ガスから回収する二酸化炭素(CO2)の販売収入が低迷している。市は藻類の新たな培養拠点の整備を目指しているが、民間企業への売却時期が遅れるなど厳しい状態になっている。 ●16年度24万円  市によると、市清掃工場の装置と民間3施設をパイプラインでつなぎ、光合成を促すCO2を提供している。提供先は、藻類培養を手掛けるアルビータ(本社・佐賀市)が運営する工場、JA全農のキュウリ栽培ハウス、グリーンラボ(福岡市)のバジル生産拠点。  2016年8月に稼働したCO2分離回収装置の整備費は約14億円に上る。国の補助金を差し引いた9億5千万円などを、17年間のCO2売却収入で賄う計画だが、16~19年度は24万~283万円にとどまっている。秀島市長は昨年の12月定例議会一般質問で「使用量がかなり少なくなり、当初の目標から乖(かい)離(り)した。いい方向に持っていくよう努力していく」と答弁している。  バイオマス産業推進課は「1日の最大供給量(10トン)の25%ぐらいを生産した日もあり、売却収入は少しずつ増えている」と話す。一方で目標値については「当初考えた理想の数値」として言及せず、「目標には届いていない」と述べるにとどめた。複数の市議によると、18年度は市の収入見通しの25%、19年度は58%にとどまっているという。  16年10月に清掃工場西側で操業を開始したアルビータは、藻類の需要が増えるとみて工場北側約21ヘクタールにも藻類の培養拠点を計画。市が約18億円をかけて約21ヘクタールの農地を取得・造成した。しかし、隣接地の地権者との交渉で境界が決まらず、19年度中に予定していた売却時期が最長で1年遅れることになった。  バイオマス産業推進課は「境界の問題は解決しつつある」と説明しつつ、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、アルビータの東京にいる役員が来県できないでいる」と頭を抱える。会社側が新型コロナを理由に建設中止や事業縮小を考えているかどうかについては「そうした話は今のところない。造成代行の申し入れ書をもらっている」と強調する。 ●「現実的事業に」  一方で市は、市下水浄化センターでのバイオガス発電と、センターで分離回収するCO2で藻類を培養する「エネルギー創出事業」は大幅に見直した。藻類培養を手掛けるユーグレナ(本社・東京)と実証研究をする中で、CO2の需要が想定より伸び悩む見通しになったなどとして、分離回収装置の設置を凍結した。コストを削減し、当初53億8千万円だった概算事業費を21億5千万円に圧縮した。し尿をバイオマス資源にすることで、老朽化した衛生センターの改修が一部で済み、費用を抑えることができるようになったとして、「現実的な事業になった」と複数の市議が一定の評価をする。  ただ、一連のCO2回収事業に対して市議の一人は「ランニングコストを賄えず、累積赤字がたまり続ける費用対効果が低い事業に税金を投入し続けるのはいかがなものか」と批判する。別の市議は「藻類や農業だけでCO2の売却量が伸びないのであれば、補完するために別の産業の誘致も視野に入れるべきではないか」と指摘する。(大田浩司)

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