第1志望に「3分の2が不合格」中学受験の現実 入学して“今はここで良かった” #こどもをまもる
平均の出願数は6.9校 10校以上受ける子も
少子化が進む中、首都圏の中学受験は過熱している。2023年入試の受験者数は、私立と国立中学を合わせて過去最多の5万2600人だった。増加の要因として、中学受験に関わる教育関係者が指摘するのがコロナ禍だ。休校期間中、私立校は公立校と比べオンライン授業への切り替えが早かったことなどから、私立人気が高まった。湾岸エリアや新規開発が進むエリアを中心に教育熱心な親が増えていることも要因とみられる。 首都圏模試センターの調査によると、直近2023年の入試では、男女とも願書を出した学校の平均は6.9校。実際に受けるのは平均3.9校だが、10校以上受ける生徒もいる。 こうした受験熱の高まりの中、シビアな現実がある。受験生が多いということは、言い換えると、その多くが第1志望の学校に入れないということだ。
中学受験のコンサルティングを行う森上教育研究所の森上展安さんは言う。「コロナ禍以降のここ2、3年は高倍率が続いています。(大手学習塾の)四谷大塚の偏差値で40台半ばぐらいまでの学校はだいたい3分の2の受験生が不合格となる現実があります」。模試では合格可能性が高くても、12歳の受験はプレッシャーや体調で実力をうまく出し切れないこともある。
一芸に秀でた同級生を見て「すごい」
中学受験に臨む子は、公立中学を選択する場合を除き、第1志望ではなくても受験した学校のどこかに入学することになる。 都内の中学2年生の有坂航さん(仮名、14歳)は、小5で塾に通い始めた。両親とも中学受験の経験者で、父の浩紀さん(仮名)が勉強を教えた。小さいときから本が大好きだった航さんは国語が得意だった。自然豊かで自由な校風に惹かれ、「男子御三家(開成、麻布、武蔵)」を第1志望に決めた。 1月に埼玉の2校を受験。1校は合格、もう1校は合格にあと1点届かなかった。2月1日午前に本命校を受験、午後は近年人気が上昇している共学校を受けた。2校とも手応えはあったが、夜になって午後受験した共学校の不合格が分かった。