<吹け赤い旋風>聖カタリナ 支える人々/上 野球部部長 光田一樹さん(26) 優しく厳しく、誰よりも熱く /愛媛
「やっぱり、野球に関わり続けてきてよかった」。聖カタリナ学園のセンバツ出場決定時を振り返り、ぽつり。野球部創部2年目の2017年にコーチに就任し、翌年から部長に。時に優しく、時に厳しく選手たちの指導にあたっている。 中学生までは「プロ野球選手」が将来の夢。物心ついた時から野球が大好きだったのも、父親がラジオやテレビで野球中継を流していたからだろう。小3でソフトボールを始め、大学まで一貫して生活の中心に野球を置いてきた。 東温高時代の野球部の監督に大きく影響を受け、夢が「教師」に変わった。松山大では教職の単位を取り、就職先を探していた4年の秋、知り合いから「野球部のコーチとしてカタリナで働くのはどう?」と声が掛かった。「当時は『とにかく野球がやりたい』という思いが強かった。けど何の実績もなくてどうしようか悩んでいた時にもらった話。喜んで受けた」 普段は1クラスを受け持ち、地歴公民科の教員として教壇にも上がる。部長としてチームの予定管理から練習場所の確保など事務全般を一手に担う一方、グラウンドではバットを握ってノックしたり、打撃フォームを見たりと技術的な指導もする。「本当に頼もしくて、うちの部にとっていなくてはならない存在です」(疋田昂大(ひきだこうた)選手)と部員からの信頼は厚い。 20年10月、秋の四国地区大会準決勝、小松戦。サヨナラでカタリナに軍配が上がると、誰よりも先にベンチを飛び出した。ふと横を見ると越智良平監督(39)の姿。高く跳びはね、その監督の胸に強く抱きついた。「あれは『抱きついた』ではなくタックル」と越智監督は苦笑した。 3月19日の開幕が迫る中「本当に知らないことばっかりで、ある意味『非日常』の生活を楽しませてもらっている。彼らの成長も肌で感じている」と誰よりも熱い男は、教え子たちの躍動を待ち焦がれている。 ◇ 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)出場を控える聖カタリナ学園。選手らを支える人々の横顔を紹介する。