民維合併問題 政党合流の方式の例は? 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
民主党と維新の党が12月7日、来年1月4日召集の通常国会までに統一会派を結成すると合意しました。両党は来春までの合併を検討しているものの方法をめぐって考え方に開きがあります。民主党は「98年方式」という民主の党名は残して維新を吸収合併するやり方を探る一方で、維新や民主保守派はいったん党を解散して合流するやり方を主張しています。メンツや政治資金的な側面、比例選出議員の扱いなどの理由が背後にあるようです。 【写真】「国民連合政府」構想は「オリーブの木」になるのか? そこで今回は政党の合流方式について吸収合併か解党しての新党結成かの2パターンを中心に背景や過去の事例などを参考にメリットやデメリットも含めて考えていきます。
●「会派」と「政党」
会派とは、国会内の構成単位です。たいてい政党とイコールですが、他党と1つの「会派」を結んでも構いません。原則として2人以上。大きくなると各委員会に所属できる議員数や質問時間などが多く取れる可能性が高まり、議案を発議する要件(衆議院20人以上、参議院10人以上。いずれも予算を伴わない法律案の場合)を満たせば議員立法も可能となります。 次に「政党」とは何でしょうか。志を同じくする者は誰でも政党を名乗れます。政治活動をしたければ総務大臣に政治団体設立を届け出て認められる必要があります。そうすれば寄付を募るといった活動ができます。 国会議員の場合は、5人以上いるか、最も近い国政選挙で全国から2%以上の得票を得るかどうかが境目になります。このハードルをクリアすると国民1人あたり250円を負担している政党交付金が受け取れたり、衆議院選挙で小選挙区候補が比例区に重複立候補できるなど特典があります。
●吸収合併方式とは?
1996年、当時自民党と社会党とともに連立内閣に加わっていた新党さきがけの鳩山由紀夫氏と菅直人氏を中心に結成されたのが民主党でした。結党から15年間で目標を達成して解散すると標榜していました。 当時の最大野党は94年に作られた新進党。前年に自民党を飛び出した新生党に加えて民社党や日本新党、公明党の一部などが合同して誕生しました。天下分け目の96年総選挙で政権奪取を試みるも敗北。その後はゴタゴタ続きで97年、小沢一郎党首が分党を決めて旧党派別にバラバラとなりました。そのうちのいくつかと他の野党も含めて98年に合流したのが今に続く民主党です。あくまでも存続するのは民主党で、政党名も変えず、他党は解散して加わりました。「98年方式」とはこれです。 メリットとしては、仮に野党第1党である現在の民主党が国民の支持を与党に次いで受けているとすれば、存続したまま大きくなれる点です。デメリットの多くは吸収される側にあります。 2000年、国会法が改正されて比例選出の国会議員が他党へ移籍するのを原則禁止としました。新進党弱体化のため自民党が新進党比例選出議員などを引き入れて過半数を回復した事例がありました。衆議院の比例代表区は政党名を、参議院は政党名か候補者名を書きます。いずれも政党の得票とみなされてドント式という方法で議席が割り振られます。政党への支持で当選した者が他党に流れるのはおかしいという理由での改正でした。 例外的に認められるのは新党への参加か合併しかありません。ところが維新の党には旧みんなの党の比例候補であった5人の参議院議員がいます。みんなは解散しており、維新の党は新党なので合流できましたが、今度は既存政党への吸収ですから加われません。 また法律上は解散したら残余の政党交付金を国庫に返納しなければなりません。ただしこれには抜け道があるので後述します。 政党名は民主党のままでいいのかという点も議論になるでしょう。