ダボス会議が警鐘、企業にとって最大の脅威は
経済学者や政治学者らで構成され世界情勢の改善に取り組むことを目指した国際機関世界経済フォーラム(WEF)は1月19日、2021年版の「グローバルリスク報告書」を発行した。同報告書はWEFがスイス・ダボスで開く年次総会(通称:ダボス会議)に合わせて2006年から毎年発行している。事業活動に影響を及ぼす国際的なリスクを調査しているので、サステナビリティ担当者にとってリスクを事前に把握できる「指標」として活用されてきた。今年の報告書の要旨をまとめた。
同報告書は650人以上の専門家にヒアリングを行い、企業の脅威となるリスクを短期・中期・長期でまとめた。今年は新型コロナウイルスの世界的な蔓延があり、「感染症」リスクの順位が上がった。 「発生の可能性が高いリスク」というランキングでは、「感染症」は2020年には10位以内に入っていなかったが、今年は4位に上がった。「影響が大きいリスク」というランキングでは、1位だった(2020年には10位)。
今年も長期的リスクの上位は環境リスク
昨年の報告書では、長期的リスク(10年間以内)の上位5位は「異常気象」や「気候変動」などすべて環境リスクであった。今年もその傾向は変わらず、「感染症」が加わった形だ。 今後10年間で「最も可能性の高いリスク」としては、「異常気象」「気候変動」「人為的な環境破壊」「デジタル不平等」「サイバーセキュリティ対応の失敗」などが挙がった。 今後10年間で「最も影響の大きいリスク」はトップの「感染症」に次いで、「気候変動」「環境課題」「大量破壊兵器」「生活破綻(生活苦)」「債務危機」「ITインフラの機能停止」――と続いた。 これらの中で最も差し迫った脅威(2年以内に起こると予測)は、「雇用と生計の危機」「蔓延する若者の失望」「デジタル格差」「経済停滞」「人為的な環境破壊」「社会的結束の侵食」「テロ攻撃」だった。 3~5年以内に起こると予測した中期的なリスクでは、「資産バブル」「価格不安」「コモディティショック」「債務危機などの経済リスク」が目立った。