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世界の気温2℃上昇で 穀物被害8・4兆円 農研機構試算

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日本農業新聞

 農研機構などの研究グループは、地球温暖化で世界の平均気温が2度上昇した場合、世界の穀物生産に年間800億ドル(8兆4000億円)の被害を与えるとの試算を明らかにした。被害額は現在の米国とブラジルの大豆生産額に匹敵する。うち6兆4000億円は対策により軽減できるが、2兆円は対処し切れない。気候変動の進行を抑え、適応技術の開発・普及が重要だと指摘している。

対策しても2兆円 適応技術が鍵

 同機構は、国際農研や農水省農林水産政策研究所と共同で、気候変動が世界の主要穀物(米、小麦、大豆、トウモロコシ)に及ぼす影響を評価。温暖化による収量低下の生産被害総額と、対策で軽減できる被害額、対処し切れず生じる被害額(残余被害)をそれぞれ試算した。  特に、収量低下の被害額では、将来の気候変動が世界各地の穀物収量に及ぼす影響を50キロ四方を単位に予測。収量への影響に2000年ごろの世界の収穫面積分布と国別の生産者価格を乗じて被害額に換算した。  その結果、工業化(産業革命)以前と比べ、世界の平均気温が2度上昇した場合、生産被害総額は8兆4000億円となった他、1・5度上昇では6兆6000億円、同3度上昇では13兆4000億円となることが分かった。  ここから対策で軽減できる被害額を差し引いた残余被害が占める割合は1・5度上昇では16%だったのに対して、2度上昇では24%、3度では39%と増え、温暖化が進むと対処できない生産被害が深刻となると予想した。  過去30年、主要穀物の生産被害額は年間424億ドル(4兆4500億円)生じていると報告されている。生産現場では、作期の変更や肥料、薬剤の追加投入、別の品種への切り替えなどで対応しているものの、今後どの程度の被害額となり、軽減できるのかは不明だった。  2020年以降の気候変動の国際的な枠組みとして採択された「パリ協定」では、世界の平均気温上昇を2度未満に抑え、1・5度未満を目指すとする。  今回の試算では、新品種の開発など時間を要する技術は適応策に含まれていない。農研機構・農業環境変動研究センターの飯泉仁之直主任研究員は「気温の上昇に備え、栽培作物の変更など大きな変化を伴う対策の検討も必要だ」と話す。

日本農業新聞

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