「築10年マンション」で問題多発…日本の家の厳しすぎる事情
マンションや家のような大きな買い物は後から後悔やトラブルが起こらないように事前に入念な準備を行うことが大切です。本記事では、マンションの「耐久性」を実現する8つの条件を紹介します。 ※本記事は、書籍『これからのマンションに必要な50の条件』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
「納期優先、コスト優先」下請け会社の厳しい事情
条件1:現場管理が元請会社の社員である 集合住宅の工事の過程には多くの業者が関わります。どの業者もできるだけ利益を上げたいと考えるのが一般的ですから、予定通りに現場を終えて、すぐに次の現場に移る場合も少なくありません。 すると、どうしても品質よりも納期が優先され、結果として、明らかにやり直しが必要な場所であっても隠蔽する、という事態につながりかねません。また予算が決まっていても、少しでも利益を多く残そうと考え、コスト圧縮を図る場合もあります。 あるいは、作業を早く終わらせるために、見えないところでコンクリートに余分に水を混ぜて、型枠への流し込み時間を短くしてしまう、という問題も横行しています。 これでは、コンクリートの品質を守ることはできません。 もちろん、良心的な業者も数多くあります。一方で、近年の建築ラッシュや深刻な人手不足で、手を抜きがちな職人に仕事を頼まざるを得ないケースが出てきてしまうのです。しかし、集合住宅はオーナーからすれば大事な資産であり、住み手からすれば命を守る器です。万一のことがあってからでは取り返しがつきません。 ですから、元請会社が現場監督となり、施工の過程において一から十までしっかりと目を光らせる必要があるのです。 元請会社は、1億円の予算があるとすれば1億円の予算を使い切って、次の受注につながるように、できるだけいいものを造ろうと考える場合がほとんどです。 また、施工不良は、5年後、6年後になって明らかになることが少なくありません。不測の事態になったときに、社員であれば、「誰が、あの物件の現場監督だったのか」と追及され、責任を問われます。会社に長く勤めようと思えば、決して、いい加減なことはできないのです。以上の理由から、元請会社の社員がしっかり現場監督をしていることが必要だといえます。