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ぞうりやかご‥民具製作の指南書を発刊、富本さん「継承は義務」

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琉球新報

 【八重山】竹富島出身の民具職人・富本衛さん(77)=石垣市=がこのほど、口承などで伝えられてきた民具製作の“指南書”となる「島の民具」(南山舎)を発刊した。アダン葉のぞうりやタコノキの葉のかごなどの製作過程を、工程順に写真を配置して分かりやすく解説する。かつて生活に密着していた民具を、次世代に継承しようと筆を取った富本さん。「島の文化を守るのは現代の『民具者』の義務だ」と語る。  故郷・竹富島では、自作の民具が生活用品として当たり前に使われていた。日用品として特に関心はなかったが、中学2年生の夏休みの課題製作で稲わらの芯でほうきを作ったところ、父親や担任から褒められたことをきっかけに、民具への興味が芽生えたという。  民具の世界に足を踏み入れたのは30代の頃。県立八重山養護学校(当時)でスクールバスの運転手になった頃から休憩時間や休日に石垣島の職人を訪ね歩き、民具製作の技術を培った。定年後に本格的に民具作りをスタートした。  プラスチック製品が出回り民具は家庭から消え、それに伴い、民具製作のノウハウを持つ人も減少した。一方で観光客が観賞用の土産として買い求めるほか、地元でも伝統行事などで用いられる。  「需要があれば作らないといけない。それに、周りにあるものを使った先人のアイデアがつまった素晴らしい道具で残さないといけない」と強調する。廃棄・投棄されたプラスチック製品による環境問題が顕在化する中「プラスチックと違って民具は元々は植物だから土に返るだけだ」と民具の現代的な価値も語る。  「民具者」の後継者を生み出そうと、周囲からの強い要望もあって出版された「島の民具」。星マークで難易度を付けるなど、初心者が製作にとっかかりやすくなる工夫も凝らした。富本さんは「こういう本があれば、民具作りも始めやすい。民具作りを志す人や興味がある人の参考書になってほしい」と話した。  「島の民具」はB5判オールカラー220ページ。定価は3500円(税抜き)で、県内書店で販売している。 (大嶺雅俊)

琉球新報社

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