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アメリカで「外出時にはマスク着用」始まるも…「在庫がない!」

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SmartFLASH

 アメリカで、マスクに対する考え方がいよいよ変わり始めた。  ロサンゼルス市長やニューヨーク市長が、すべての市民に対し、外出する際は布マスクをするよう発言したのだ。マスクをする文化のなかった欧米にとって、これは大きな転換だ。  これまでマスクは医療従事者や感染者がするもので、健康な人間には必要ないというのが、CDC(米疾患予防センター)や政府、WHO(世界保健機関)の立場。  しかし、4月1日にCDCが「新型コロナは症状を自覚する1~3日前に他人に感染させる可能性が高い」と発表。無自覚のうちにウイルスを撒き散らしてしまうことから、マスク議論が過熱し、症状のない人もマスクすべきだという動きが出始めた。  カリフォルニアの保健当局は、1日にフェイスカバーに関するガイドラインを出し、鼻と口を覆うことを推奨。ただし、これまで言われている手洗いや、人と1.8メートル以上の距離を取る指針に替わるものではなく、すべてを同時におこなうことで効果があるとしている。テキサス州では、マスクなしで外出した場合、最高1000ドルの罰金を課す方針だ。  政府やWHOも新たなガイドラインを作成していると報道されており、CDCも医療従事者に十分なマスクが回るのなら、指針変更の用意があると発言している。トランプ大統領でさえ、マスクをしたい人はすればいいし、スカーフでもいいとコメントするようになった。  それにしても、いまなぜ布マスクなのか?  アメリカでは現在、防護服や医療備品などの安全装備が大幅に不足している。国の備蓄はなくなりそうで、イリノイ州は要求した分の10%しか受け取っていないという。全国民が必要とするマスク必要量の1%しか在庫がないとの試算もあり、貿易摩擦でもめていた中国から慌てて大量の安全装備を輸入している状態だ。  前線で働く医師や看護師に十分な数のマスクが行き渡っておらず、使い終わったマスクを袋に入れ、数日後に使い回す映像や、マスクに消毒スプレーをかけたり、マスクの内側にフィルターをホチキスで止め、フィルターだけを替えて使い回す映像がSNS上に出回っている。  多くの病院が民間からマスクなどの寄付を求め、必需品をかき集めている状態で、不満を募らせた病院関係者のストライキも発生している。 「N95マスク」など医療レベルのものは医療従事者に回すべきという考えから、民間人がマナーのために使うのは布でよし、となった。鼻と口を覆うものなら手作りでもバンダナでも構わないという。布マスクには効果がないという意見もあるが、飛沫を防ぎ、相手への感染を防ぐ効果は大きい。 「N95」はカリフォルニアの山火事の際に多くの人が使用したように、アメリカでは一般的なものだが、隙間なくきちんと装着するとかなり息苦しい。ちょっと階段を上り下りするだけでも、少しずらして大きく息を吸い込みたくなるため、日常生活にはあまり向かない。だったら、布マスクで十分なのだ。  欧米人は、会話する際に相手の目を見つめ、表情に深く注意を払うから、表情が見えないマスク姿を異様だと感じる。実際、オーストリアでは覆面禁止法が施行されている。だから、これまでは、マスクして買い物をすると、レジの人から「大丈夫か?」と心配そうに声をかけられたものだが、今後は変わっていくだろう。  日本では、国民全世帯に2枚のマスクを配るという政策が大きな批判を浴びている。アメリカでも、「アベノマスク」という言葉や、サザエさん一家が2枚のマスクを共有する絵とともに、面白おかしく伝えられている。  しかし、安倍首相の発言をよく聞けば、月6億枚の供給を実施した後に月7億枚の供給を確保。さらに医療機関にはサージカルマスクを1500万枚、高齢者施設・障害者施設・小中学校にも順次支給する予定で、そのうえさらに1億枚を国民に配布するのだという。外出制限で品薄のマスクを探し回ることもできない今のアメリカから見たら、とてもうらやましい限りである。(取材・文/白戸京子)

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