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「入社した気がしない…」コロナで長期化する「何者」症候群

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BUSINESS INSIDER JAPAN

「2週間たったけど、入社した感覚がないんですよね。」 今年から新社会人になった知り合いから、こんなメッセージが届いた。 【全画像をみる】「入社した気がしない…」コロナで長期化する「何者」症候群 それもそのはずで、4月に行われた入社式に、家でスーツを着てのぞんだあと、研修は全てPC越し。画面の向こう側であまり良く知らない人が一方的に話しているのを、聞いているだけだという。 研修の「裏」では同期とのLINEが飛び交っていて、そちらの声のほうが生っぽくてリアルだと。 ある程度の規模の会社に入社した人は経験があるだろう、あの入社式で皆似たようなスーツを着て整列させられている違和感も、みんなで一緒に聞く訓示も、幸か不幸か、今年(2020年春)はない。 かつて当たり前だった、無意識に今日から組織人としてのアイデンティティを感じるさまざまかつ、ささいなきっかけは、ほとんど全てなくなったのだ。 それはいわゆる新入社員に限った話ではない。不意にリモートワークに切り替わった多くの働く人が、組織人としてのアイデンティティを途端に取り上げられてしまった。 いま思えば、これまでの日常で何気なく目にしていたものや聞こえてきたものは、知らない間に周りから消えた。そして当たり前ゆえに、消えたことも認識するのに時間がかかった。

日本人はなぜ会社名を答えるの?

例えば、「はい、株式会社〇〇です」という電話対応の声も、名刺交換の際に会社名と自分の名前が同時に視界に入ることも、居酒屋で同じテーブルを囲んでいる人たちの顔ぶれも。 自宅の最寄り駅とオフィスのそれが印字された定期券でさえ、自分が組織人としてどこに属しているか、確認する瞬間だったのかもしれない。 その「瞬間」の積み重ねによって、自分は〇〇会社の〇〇であると自覚していたのだろう。 「日本人は、仕事を聞かれたときになぜ会社名を言うの?」 ある海外の知人から聞かれたことがある。それまで当たり前だと思っていたが、仕事を聞かれてエンジニアだとか、セールスだとか、職能を答えることが一般的な国も多いらしい。 入社すると仕事内容や勤務地が固定されないメンバーシップ型雇用の日本と、職務を明確にして働くジョブ型雇用の欧米諸国との違いが、こういう所に表れているのだろう。 思い出してみると、どんな仕事をしているの?という質問に対して社名を答えるシーンは多い。社名は言わないまでも、「メーカーです」とか「商社です」と答えるのは、こうやって字面にしてみると、やはりそもそも質問に答えていない。 にもかかわらず、このコミュニケーションが成り立っていたのは、仕事をしている自分のアイデンティティの多くが、所属・組織名によって形成されていたからではないだろうか。

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