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ヒプノシスマイク 中王区が体現する“楽曲でねじ伏せる”コンテンツの強さ Reol書き下ろし「Femme Fatale」を考察

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リアルサウンド

 音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』(以下『ヒプマイ』)から、3周年となる9月2日、オフィシャルガイドブック『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- Official Guide Book』が発売された。その初回限定版に同梱されるCDには、中王区として初の楽曲となる「Femme Fatale」が収録。8月15日に公開されたこのトレーラー映像が大きな注目を集め、瞬く間に600万再生を突破した。ヒプマイ初の女性ボーカルとなる「Femme Fatale」の持つ強烈な魅力について紐解きたい。  改めて『ヒプマイ』の世界観を振り返ってみる。舞台となるのは、第三次戦争を経て武力による戦争が根絶された世界。争いの決着は武力ではなく、「ヒプノシスマイク」を用いたリリックでつけられるようになった。  その中で、東方天乙統女がクーデターにより政権を掌握。「言の葉党」党首として、女性の暮らす中王区と、男性が暮らすそれ以外の区画とに分け、女性中心社会を築いた。今までの『ヒプマイ』では、男性キャラクターによるディビジョン同士のラップバトルを中心にストーリーや楽曲が展開されてきたが、物語が進むことで「全ディビジョンvs中王区」の構図が明確になってきている。オフィシャルブックの表紙の「見上げる男性陣」と、「Femme Fatale」のトレーラー解禁と共に発表された新規絵「見下ろす中王区の女性陣」の対比も、その対決構造を感じさせる。  今回の「Femme Fatale」の公開は、キャラクターしか表に出ていなかった中王区が初めてその実像を垣間見せた形だ。女性向けコンテンツは、女性キャラクターによってその後の人気が左右されることもあり、その上、今まで「主人公サイドの敵役」という立ち位置が強調されてきた中王区。その楽曲がどのようなものになり、どう受け止められるのだろうと思っていたが、蓋を開けてみれば、懸念を吹き飛ばすような圧倒的に強いガールクラッシュな1曲が飛び出した。  今作は、作詞・作曲をシンガーソングライターのReolが、作編曲をGigaが手がけている。「バッチバチに踏みました」というReolの言葉通り、韻を踏みまくったパンチライン尽くしの構成だ。  切り込む1番手・東方天乙統女を演じる小林ゆうのボーカルがまず素晴らしい。声を荒げることも張り上げることもなく、言葉遣いも〈ご覧遊ばせ〉、〈頭が高いですね〉とあくまで丁寧。それなのに、声の凄みだけでひれ伏してしまうような圧倒的なパワーがある。  続く勘解由小路無花果は、非常にアイコニックなキャラクターだ。リボンでまとめたポニーテール、真っ赤なリップとアイライン。胸を大きく開けた制服の着こなしにハイヒール。そのビジュアルは、「強い女」をまるごと体現しているようだ。「自分のための強さ、美しさ」を全力で表明する姿に惚れ惚れする。高音から低音を自在に行き来するフロウにはセクシーと強さが宿っており、CVを担当するたかはし智秋の本領発揮を感じた。  3番手、山本希望が声を務める碧棺合歓のパートでは、キンキンに尖らせた声音で繰り出される、攻撃的なリリックが突き刺さる。〈強さは言霊に宿すのよ〉というフレーズも「言の葉党」の意義そのものだ。そして、合歓はヨコハマ・ディビジョンのリーダー、碧棺左馬刻の妹でもあり〈碧棺に葬る 身内にもR.I.P〉というリリックが、兄妹対決の想像を掻き立てる。

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