<春に挑む・’20センバツ創成館>自宅に「グッズ」の熱烈ファン 諫早の74歳・平さん、チームの存在支えに /長崎
◇リハビリも乗り越え 春のセンバツに出場する創成館野球部には、在校生ら学校関係者だけでなく、地域の人たちもエールを送っている。諫早市の元タクシー運転手、平義文さん(74)もその一人。創成館の応援を続ける熱烈なファンで「私が元気で生きているのは、創成館野球部のおかげ」と語る平さん。2年ぶりに挑む大会でチームの飛躍を願う。【中山敦貴】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ボールやタオル、メガホンなど自室に並ぶ「創成館グッズ」。諫早市久山町の野球部グラウンドから約1キロの場所に住む平さんが10年以上、チームを応援する中で集まった宝物だ。 野球部との出会いは2008年、道を歩いていた時、すれ違った部員から「こんにちは!」とあいさつされたのがきっかけだった。当時は創成館にあまり関心はなかったというが、「すがすがしいあいさつで、学校全体の印象がよくなった」といい、練習を見に行くようになった。 選手を取り上げた新聞や雑誌の記事を切り抜き、テレビは録画。公式戦を応援する時は、選手の個人記録をつける。「遠方に住んでいる親御さんにも、選手の活躍を知ってほしい」と切り抜きや個人記録を送る。沖縄県出身の照屋寧生(ねい)選手(2年)の母親ら保護者からは感謝のはがきが届く。 チームの存在は平さんの支えでもある。平さんはタクシーに乗務中だった10年10月、無理な追い越しで車線をはみ出してきた対向車と正面衝突。脳挫傷や肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷を負った。医師から「寝たきりになるかもしれない」と告げられるほどだった。 11年4月につえをついて退院。6月ごろから、またグラウンドに通い出した。厳しいリハビリ生活も、選手らの一生懸命な姿を見ていると「スカッとして、痛みを忘れられた」と振り返る。多少の後遺症はあるものの、リハビリも実り今は元気に過ごす。 ◇孫が野球部員に 創成館が初めてセンバツに出場した13年春、当時小学2年で、甲子園で一緒に応援した孫裕太郎さん(15)は今春、創成館に進学し野球部に入ることが決まった。平さんは、「まずは初戦突破を。孫と私にもう一度、基本に忠実な創成館らしいプレーを見せてくれるのが楽しみ」と開幕を待ちわびる。 〔長崎版〕