【承香院さんの五感で楽しむ平安ガイドVol.2】平安貴族が愛した香りを体感!
黒く艶やかな香りの玉を実際に薫いてみると……。
「今回は、『薫集類抄(くんしゅうるいしょう)』という平安時代のレシピを参考にして沈香を約5割、そのほかに丁子や白檀、甘松、かつ香などを適量合わせた〈荷葉(かよう)〉という夏の香りです。練香は直接火の上にのせてしまうと強い匂いが出てしまいますので、灰の中に軽く埋めるようにして薫きます」 主だった香原料は決まっていても、微妙な配合の仕方や種類によって香りは異なるのだという。「配合は何度も試し、分量はもちろんのこと熟成の具合など、さまざまなアプローチで香りを模索しています。それぞれ異なるバラバラな香りが、ペーストになるにつれてひとつにまとまり、よい香りへと変わっていくのがおもしろいところですね」 そうして承香院さんが香炉に入れ、練香を実際に薫いてみると……。ふんわりと体を柔らかく包み込むような、なんとも心落ち着く甘い香りが漂い出しました。不思議とどこか懐かしい香りに思えます。
暑い時期こそ取り入れたい、心落ち着く平安の香り。
「私は普段から香りを薫いておりますが、こうして香原料から調合することもありますし、それに近い市販の線香を探して取り寄せてみたりもしています」 香原料の調合から始めるのはなかなかハードルが高いけれど、市販のものを試しながら好きな香りを見つけるのは楽しそう。今年は酷暑の予感もある中、自らの身を置く空間だけでも、心落ち着く甘やかな平安の香りを漂わせてみませんか?
今回協力いただいたのは…… 香源 銀座本店 全国のメーカー各種の香・線香を5000種以上を取り揃え、お香コンシェルジュによって各人に最適な香りを提案してもらえる。配送での注文も可能。練香、匂い袋、お線香、香木焚き比べといった体験講座も予約にて開催。 ●東京都中央区銀座4-14-15 TEL03•6853•8811 営10時17分~19時17分 無休
承香院 さん じょうこういん 平安文化実践研究家(主に装束) 平安時代の装束や文化を実践しながら独自に研究を重ね、SNSで発信。その集大成である『あたらしい平安文化の教科書』が刊行された。
撮影・青木和義 構成&文・中條裕子 撮影協力・バックグラウンズファクトリー
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