【特集】中越地震の震源地で全壊 まちで唯一のスーパー 人口減少による経営悪化 それでも"店を守りたい” 旧川口町のスーパー「安田屋」ふるさとに寄り添った20年 ≪新潟≫
苦境に立ち上がった息子
しかし……地震前約5700人いた旧川口町の人口は3700人ほどに減少……安田屋の経営は、いま苦境に立たされています。 〈安田屋 山森瑞枝さん〉 「地震が大きく人生を変えた。全部失ったところから借金という大きなもので始まり、あとはこの街が大きく変わってしまった」 そんな母をサポートしようと立ち上がったのが長男の健也さんでした。 〈瑞枝さんの長男・健也さん〉 「かなりお客さんとの距離が近いので直接ありがとうという声をいただけることが多いのでそれが一番うれしいですね」 東京の大学に進学後、都内のIT企業に就職した健也さん。ふるさとに戻り家業を継ぐ決断をしたのは母との電話でした。 〈瑞枝さんの長男・健也さん〉 「仕事に対しての愚痴とか不安を僕に話したことがあったんですよ。小さい時からずっと仕事をしていてそういうのを聞いたことがなかったのでこれは帰ろうと」 母が初めて漏らした店の先行きへの不安……迷いはありませんでした。 震災から母が守り抜いた安田屋を今度は自分が救いたい……健也さんが始めたのはSNSでの発信でした。 〈瑞枝さんの長男・健也さん〉 「従業員の方たちの年齢層が高くて、外に魅力を発信できなかったので僕が入ってからすぐにやろうと思って」 SNSでは特売情報や商品の入荷などを投稿……するとこれまで安田屋を知らなった新規の客も訪れるようになり売り上げは少しずつ回復傾向にあります。 過疎と高齢化が進む旧川口町……健也さんは買い物が難しい住民のため地域を回り商品の配達を行います。 〈利用者〉 「今はもう80歳になるんで配達してもらえるとありがたい」 〈利用者〉 「助かります。私両手両足が不自由なので自分で車を運転できなくなったので配達してもらわないと食料も困難」 〈瑞枝さんの長男・健也さん〉 「困っている方がいらっしゃるのでその方々のために絶対なくてはならない配達だと思うので」 困っている人を助けたい……復興のために奔走する母の姿をみて根付いた思いです。