【特集】中越地震の震源地で全壊 まちで唯一のスーパー 人口減少による経営悪化 それでも"店を守りたい” 旧川口町のスーパー「安田屋」ふるさとに寄り添った20年 ≪新潟≫
中越地震の震源地、旧川口町で住民を支えてきたスーパーがあります。 地震により建物が全壊。地域の人口減少による経営悪化。 そんな幾多の困難を乗り越えふるさとに寄り添ってきた20年の歩みです。 【動画で見る】中越地震で全壊した旧川口町のスーパー「安田屋」 ふるさとに寄り添い20年《新潟》
旧川口町で唯一のスーパー
市場で目利きした果物や新鮮な生鮮食品が並びます。 ここは長岡市旧川口町で唯一のスーパーマーケット「安田屋(あんたや)」。 創業66年……食材から日用品までそろう地域で愛される老舗です。 この店を切り盛りする専務の山森瑞江さん。店のムードメーカーで周りにはいつも笑顔が広がります。 〈買い物客〉 「昔から知っている地元のおじいちゃんおばあちゃんにしても若い人にしてもこうやって瑞江さんが対応してくれて親しみやすいからそれは地域のスーパーさんですよね」 〈買い物客〉 「なくてはならない存在だよね。頼りにしているし配達とかもしてもらえるし」 地域住民にとってなくてはならないこの場所を20年前、悲劇が襲いました。
安田屋は「全壊」それでも……
2004年10月23日に発生した中越地震……震源地の旧川口町は震度7を観測し道路がいたるところで寸断。余震も相次ぎ住民は不安の日々を過ごしました。 まち唯一のスーパー安田屋も全壊しました。それでも押しつぶされた建物から食べ物を取り出して被災者に配布……地震から3日後には仮店舗で営業を再開しました。 〈安田屋 山森瑞枝さん(地震当時)〉 「うちが営業して食べ物を供給していかなければ、町自体が終わってしまうという危機感があるので、店をやめようと思ったことは地震から1回もないです。はやく元の形の店を営業してお客さんに満足してもらいたいという気持ちでいっぱいです」 安田屋は1億円あまりを借金して店を再建しました。 〈安田屋 山森瑞枝さん(2009年当時)〉 「売り場広げなきゃいけないねといってシャッター1枚分のところがシャッター2枚分、3枚分になって、結局その倉庫は全部(仮店舗)。よくやったよね、今思えばね。あんなところで……」 地震のあとも地域の食と生活を支え続けて20年……昔もいまも地元に欠かせない存在です。 〈買い物客〉 「ここまで来るまでに大変だったと思います。川口の人たちのために店をなくしてはいけないという彼女の思いが強く本当に頭が下がる思いです。」 〈買い物客〉 「毎日安田屋さんに来て買い物して大助かりです。ここがないともう私らは車も乗れないし、小千谷もいけないからここが命の綱です」