「手伝いで殺した」 内装工の男、ほう助主張 富津保険金殺人初公判
富津市の港で昨年1月、千葉市若葉区の内装工、宍倉拓也さん=当時(23)=を生命保険金目的で溺死させたとされる事件で、殺人の罪に問われた住所不定、内装工、金子栄司被告(51)の裁判員裁判初公判が30日、千葉地裁(小池健治裁判長)で開かれた。金子被告は「手伝いで殺した」と述べ、同罪で起訴された仲間2人のほう助犯にとどまると主張した。 事件ではほかに、金子被告や拓也さんが勤務していた内装会社の社長で、拓也さんと養子縁組を結んでいた宍倉靖雄被告(49)と、かつて靖雄被告の下で働いていた彫師の佐中佑輔被告(33)が起訴されている。 冒頭陳述で検察側は、拓也さんには複数の生命保険が掛けられており、金子被告ら3人が保険金目的の殺害計画を実行するため、富津市の港で水難事故を装って殺害したと指摘。金子被告に関しては「借金の帳消しを期待して参加した」と述べ、明確な役割分担の下で犯行に及んだとした。 弁護側は、靖雄被告が殺害計画を立て、佐中被告が海に突き落とす実行役を務めており、金子被告については「他人の犯罪を手伝ったほう助犯」と説明。拓也さんらを乗せた車を運転するなど一定の関与はあったが、保険金の取り分は決まっておらず、立場は従属的と反論した。 起訴状によると、3人は共謀し昨年1月27日午前5時25分~6時5分ごろ、富津市金谷の浜金谷港の岸壁から拓也さんを海に落とし、溺れさせて殺害したとされる。