20年の全鉄鋼輸出、19年ぶり3200万トン割れ
財務省が発表した2020年(1~12月)の貿易統計(速報)によると、全鉄鋼ベースの輸出は前年比4・8%減の3183万5千トンとなり、7年連続の前年割れだった。上期は新型コロナウイルスの影響、下期は内需回復による余力低下で1年を通じて輸出は低調に推移し、2001年以来となる3200万トン割れとなった。 金額換算では16・3%減の2兆5739億円となり2年連続で減少。4年ぶりに3兆円を割った。下期は急速に輸出価格も上昇したが、数量減を補えなかった。 足元では海外鉄鋼市況で熱延コイルや厚板がトン当たり700ドルを超えてきており、輸出向けの採算は大きく好転している。ただ21年の鉄鋼輸出は一定の数量増が見込まれるものの、大幅増となるかは微妙だ。日本製鉄は輸出拠点の一つである東日本製鉄所鹿島地区で第1高炉へ再火入れしたが、輸出量の回復は鹿島の本稼働と九州製鉄所・大分地区で熱延ミルの定期改修を終えた3月以降になるとみられている。 内需をけん引する自動車向けでは、部品となる半導体不足が生じているものの依然として生産が高水準にあり、当面の輸出余力は高まりそうにない。 地域別の輸出量は以下の通り(カッコ内は前年比)。ASEAN向けは11年ぶりの1千万トン割れだった。 ▽ASEAN=971万7千トン(14・9%減)▽中国=577万3千トン(14・6%増)▽韓国=480万7千トン(11%減)▽中東=108万8千トン(21・4%増)▽米国=82万2千トン(31・3%減)▽EU=32万6千トン(16・9%増) 20年の鉄鋼輸入は10年ぶり700万トン割れ 全鉄鋼ベースの輸入は21%減の657万3千トンとなり、3年ぶりに減少へ転じた。700万トン割れは2010年の693万トン以来。金額換算では25・6%減の7050億円だった。 国・地域別では以下の通り。 ▽韓国=321万3千トン(15・9%減)▽中国=99万7千トン(32・4%減)▽アセアン=38万1千トン(27・7%減)▽ロシア=17万1千トン(35・2%減)▽EU=9万6千トン(17・8%減) 12月の鉄鋼輸出は8カ月連続前年割れ 12月の全鉄鋼輸出は前年同月比7・6%減の252万3千トンとなり8カ月連続の前年割れだった。向け先別では、アセアンが11・4%減の85万トン、中国が22%減の38万3千トン、韓国が6・9%減の34万3千トンだった。 輸入は15%減の55万3千トンで12カ月連続の前年割れ。うち韓国からは1・2%減の31万3千トン、中国からは49・6%減の6万7千トン、アセアンからは42・3%増の3万3千トンだった。