「希望退職を希望」 会社は危機でないが日常化した退職ラン=韓国(2)
◆「不安」vs「むしろよい」 職員の間でも変化が感知される。過去のように希望退職は「失敗」でなく、他の挑戦をする機会という認識が広まったからだ。最近、NCソフトで慰労金3億ウォンを受けて希望退職した開発者Aさん(42)は「もともと転職を考えていた。一つの会社に長く通うよりも、さらに高齢になる前に新しい挑戦をしてみたいと思って希望退職を申請した」と話した。eコマース会社を希望退職した30代のBさんは「この会社に通い続ければ安定した収入が維持されるだろうが、安住していればしだいに年齢が(新しい挑戦の)弱点になるかもしれないと判断した」と語った。 外国系製薬会社に勤務するCさん(38)は本人が希望退職を申請したが、会社側が応じなかったという。Cさんは「希望退職の機会が次にいつ訪れるか分からないので今回申請したが、会社側が受け入れてくれなかった」とし「後で退職金だけを受けて出て行けということなのかと思うと残念だった」と語った。 ただ、採用市場が冷え込む場合、希望退職に対する不安感は強まるしかない。情報技術(IT)企業に通うDさん(35)は「最近は職員の間で、慰労金の金額より再就職市場の状況がさらに重要だという話が出ている」とし「希望退職後に休む期間が長くなれば再就職が難しくなるという不安感のため」と伝えた。流通会社に通う40代のEさんは「今年はティモン・ウィメプ問題もあって大規模な希望退職が続いたため、就職市場で供給が増えている」と話した。ある流通会社で15年勤務して最近希望退職した40代のFさんは「まだ国内雇用市場で『希望退職者は再就職が難しい』という認識が残っているようだ」と話した。 ◆「出て行けば地獄」と考えないように 希望退職が人材好循環構造にプラスとなるには結局「良い雇用」が増えなければいけないという分析がある。檀国大のチョン・ヨンスン経営学部教授は「現在、我々の経済問題は新しい産業や企業、ビジネスモデルがあまり生まれてこないという点」とし「経済の躍動性があってこそ雇用市場も大きく開かれる」と話した。続いて「希望退職を企業内の人事問題としてのみ考えれば決して解決しない」とし「結局は企業の成長に関する問題であり、より良い新しい機会が増えれば希望退職が拡大するのも問題にならない」と強調した。 職員の不安感を減らすため「会社を出れば地獄」という考えにならないよう制度を作るべきという指摘もある。イ・ジマン教授は「退職者が再就職市場で有利になるには自身の専門性を高める作業が必要だが、従来の会社在職中にしなければいけない」とし「企業が専門職制度を拡大するなど人材管理を几帳面にする必要がある」と話した。 特に希望退職を構造調整の手段として乱発すれば、むしろ逆効果が生じることもある。韓国労働研究院のオ・ゲテク研究委員は「人をあまりにも頻繁に送り出せば企業の評判にマイナスの影響を与え、残った職員の生産性が落ちることもある」と話した。また「希望退職を実施して能力が高い職員が退社すれば制度の効果が落ちるため、無条件に送り出すのは答えでない」とし「労使間の協議を通じて賃金体系の年功性を減らす形で解決策を探してみるのがよい」と助言した。