「変わっちまったよ、お涼は!」ディズニーランドに学校を休んで通った紙チケット時代の思い出【坂口涼太郎エッセイ】
日常にこそきらめきを見出す。俳優・坂口涼太郎さんが、日々のあれこれを綴るエッセイ連載です。今回のエッセイは「別に登らなくていい階段〈前編〉」です。新エリアオープンでも話題のあの夢の国、お涼さんとはずいぶん長い付き合いなんだとか。 1歳にしてディズニーランドへ。記念すべきファーストランディング(写真提供:お涼さん) 12年ぶりにディズニーランドに行ってきました。 神戸在住の幼馴染が会社の研修で東京に来るというので、「どこか行きたいとこある? 東京で食べたいものとかある?」と聞けば「ディズニーに行きたいねん」というまったく予想していなかったご要望をいただき、「え、まさかのディズニー!?」と一瞬戸惑い、「まあ、こんなことでもないとなかなか行かへんしな」と思った私は私に驚いて、「このバカちんが!」と思わずビンタしたくなったのであった。 私とディズニーはほとんど生まれた瞬間からずぶずぶの関係であり、1歳でディズニーランドにファーストランディングしてからは毎年のように訪れ、小学生のときなんて「土日より、やっぱり平日の方が空いている」という理由で母と共謀して、わざわざ学校を休んでディズニーランドへ登校するほど、人の形を成した瞬間から、いつでも行きたいっちゃ行きたい場所であったはずなのに、いまや私にとってディズニーランドに行くというのはスペシャル中のスペシャルな行いになってしまっているこの現実を受け止めなくてはいけない。変わっちまったね。変わっちまったよお涼は! 長い間ディズニーに不義理をしていたことに気づき、反省すると同時に、神戸から来た幼馴染の要望を叶えるのが東京に住んでいる私の役目。「ええよ! 行こか! ランドとシー、どっち行きたい?」と聞けば「どっちでもいい」と言うので「そこのこだわりはないんかい」と思いながら、ほとんど12年ぶりにディズニーランドのホームページを開けば、ランドにある老舗アトラクション「スペース・マウンテン」がリニューアルする為に7月末で終了しますというお知らせを発見し、「これは! あの物心がつき、念願の身長制限を突破してから幾度となく乗ったスペース・マウンテンを乗り納めなあかんやろう!」ということで、私からその思いを幼馴染に熱くプレゼンすれば「じゃあ、ランドでええよ」と結局なんだか私がむちゃくちゃディズニーランドに行きたい人に逆転していて、それからは12年の時を経たディズニーランドの変化を知るためにインターネットをサーフィンするなんて言い方じゃ足りないほど、昼夜問わずにジェットスキーのような乗り物でフルスロットル、ふぁんふぁんいわせて海面をトビウオのように跳ねるかのごとくインターネット中を探索。マトリックスのキアヌ・リーヴスが首についたコネクターからカンフーを一瞬で習得するかのように現在のディズニーランド事情を習得し、12年のブランクを埋めていった。