夢かなえた早田ひな、女子シングルスで涙の銅メダル 左腕の負傷にも負けず、韓国・申裕斌を撃破、エースが日本勢2大会連続の表彰台死守【パリ五輪】
◆パリ五輪・卓球女子シングルス(3日、パリ南アリーナ) 3位決定戦で日本のエース早田ひな(日本生命)=北九州市出身=が第4シードの申裕斌(韓国)と対戦し、4―2で勝ち銅メダルを獲得した。この種目の日本女子の表彰台は東京五輪の伊藤美誠に続き2大会連続。 ■勝利の瞬間座り込み号泣する早田【動画】 五輪でメダルを獲得することを幼少期から目指して北九州で厳しい練習に励み、飛躍の土台を築いた世界屈指のサウスポー。準々決勝で痛めた左腕にテーピングが施されるなど、万全ではない中で懸命に戦い夢をかなえた。 2020年1月。必死で目指した東京五輪代表のリストに自身の名前はなかった。専属で指導する石田大輔コーチは「言葉にできないほどのこと(衝撃)だった」と回想する。そこまでの結果から代表入りは難しいと理解はしていたが、石田コーチは「はっきり結果が出ると出ないでは違うから…」と振り返る。 代表落ちの一報が届いた時、早田は練習場にいた。「落ち込むだろうな」。石田コーチが何より心配だったのは早田の胸中だったが、真剣なまなざしでラケットを手に汗を流す姿があった。石田コーチは「元気よく練習していた。ここで練習できるなら、やっぱり大丈夫」と確信した。 直後に開催された全日本選手権の女子シングルスで初優勝を飾った。後にコロナ禍で延期となる東京五輪の代表に入った伊藤美誠や石川佳純に勝利しての日本一だった。早田は「ここからの4年でどう自分が変わっていけるのか。逃げずに挑戦を」と心に決めた。 21年の東京五輪では補欠として、球拾いや代表選手の練習相手を精力的に務めた。会場では二重のマスクを着けたまま、落ちることのない声量で仲間を応援した。計4種目のメダルを獲得した現場に立ち会った興奮は練習拠点の大阪に戻っても収まらない。明け方まで周囲に語り続けた。 選考レースでは圧倒的な強さを示して、押しも押されもせぬ日本のエースに成長した。悲運のアクシデントに見舞われる中でも、懸命に戦い抜いた。
西日本新聞社