昌平、京都橘に2-0の完封勝利で3回戦進出
第99回全国高校サッカー選手権大会の2回戦、京都橘対昌平の試合が浦和駒場スタジアムで行われた。1回戦で6得点と自慢の攻撃力を見せた京都橘と、ラスト5分で2点差を追いついてPK戦に持ち込む薄氷の勝利だった昌平。共に大会屈指の実力を持つと評されるチームがぶつかる注目カードとなった。 昌平Jリーグ内定4名が合同記者会見を開催 まずキックオフ時の選手配置で、両チームとも初戦から変化があった。京都橘は3-4-1-2のシステムを継続する中で、相手の左サイドのスピード対策としてMF杉本蓮(3年)をトップ下ではなく右ウイングバックで起用。一方の昌平も4-4-2のシステムは変えないが、MF須藤直輝(3年)が左サイドハーフに入った。1回戦では後半途中にトップ下から左サイドへ移って得意のドリブルで2得点を演出しており、その形をスタートから採用してきた。 序盤から京都橘はFW西野太陽(3年)とFW木原励(2年)の2トップへボールを入れ、DF金沢一矢(3年)がロングスローを放つなど、得意の攻撃を繰り出して試合に入る。対する昌平は初戦の反省を踏まえて「チームとして話し合い、個人でも要求しあいました。京都橘は2トップが強烈なので、そこを自由にやらせないこと。そしてSBへのプレッシャーを、どう回避するのかをみんなに伝えた」(須藤)ことでいい入り方を見せた。パスをつなぎながらボールを運び、敵陣深くでは個人技やコンビネーションでゴールに迫る。 互いが特徴を発揮しようとする中、徐々に昌平がペースを握っていく。相手のロングボールはDF生島翼(3年)とDF唐木晃(3年)を中心に最終ラインが跳ね返し、そのセカンドボールも回収することで、攻撃陣に多くのプレー機会を提供した。そして前半20分、左サイドのスローインからパスをつないで中央突破を図ると、相手DFの背後を突いたMF平原隆暉(2年)が相手DFのスライディングを受けて倒れこみながら放ったシュートがネットを揺らすが、主審はゴールを認めるのではなくPKの判定を下す。平原にとっては幻のゴールとなったが、このPKをFW小見洋太(3年)が細かくステップを刻む独特の助走から決めて先制点を奪った。 さらに24分には追加点が生まれる。ボランチのMF小川優介(3年)のロングフィードから、小見が相手のマークを外して裏へ抜け出してPA中央へパスを送ると、走りこんだ平原が押し込んで、今度は正真正銘のゴールを決めてみせた。藤島崇之監督が「前半は自分たちのやりたいサッカー、練習で取り組んできたことができて、得点もできた。相手を見るベースがあり、相手の嫌がる状況や自分たちらしさを出していこう、という部分では1回戦よりも良かった」と評価したように主導権を渡さない昌平は、27分にも小見が裏へ抜け出してGKもかわしてシュートを放つが、これはサイドネットの外。36分には須藤がワンツーからシュートまで持ち込むなど、あわや3点目という雰囲気を作りながらハーフタイムを迎える。 2点差を追いかける京都橘・米澤一成監督は後半開始から動く。金沢をCBからFWへ上げて、西野と木原をシャドーとする3-4-2-1へシステム変更した。自陣からビルドアップできず自慢の2トップへボールが入らなかった前半を踏まえて、前線にターゲットを配置してロングボールを送り込み、シャドーにセカンドボールを拾わせて攻撃に移る。もしくは西野が引いてボールを受けることで起点を作り、味方が攻めあがる時間を作ることが狙いだ。力技ではあったが一定の効果があり、防戦一方だった前半から、後半は敵陣に攻め込む回数が増加。ボールを失ったり回収できなくても、すぐに自陣へ撤退するのではなく、前からボールに圧力をかけようという姿勢が見られた。後半14分に後方からのボールを受けた金沢がシュートまで持ち込み、17分にはCKの二次攻撃からDF山内琳太郎がミドルシュート。31分にもロングスローから杉本とDF小山凌が連続シュートを放つ。「このままでは終われない!」という意気込みがプレーにも反映されていた。