お見合いは古い? 変わるインドの結婚事情…アカデミー賞インド代表選出『花嫁はどこへ?』監督に聞く
『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)をアーミル・カーン主演でリメイクした『Laal Singh Chaddha』(2022)や『シークレット・スーパースター』(2017)など、ボリウッドの最前線で活躍するプロデューサーとして知られるキラン・ラオ。『ムンバイ・ダイアリーズ』(2010)以来、約13年ぶりに自ら監督を務めた『花嫁はどこへ?』が、第97回アカデミー賞において、国際長編映画賞のインド代表に選出されたことで注目が集まっている。 【写真】アカデミー賞にインド代表で選出『花嫁はどこへ?』場面写真【13点】 もし実際にノミネートされれば、インドとしては『ラガーン』(2001)以来となる。そしてその『ラガーン』は、キランが助監督を務めたいた作品でもあるのだから、劇的なシナリオにはなってくるが……どうなるだろうか。 さて、そんな今作は何を描いているかというと、インドの結婚事情である。と言っても、舞台は2001年。つまり20年以上前の話になってくるのだが、インドでは、少し前まで結婚はお見合いが一般的とされており、映画やドラマでも当たり前のように、日常的に、何の違和感も無く描かれてきた。 ところがここ数年で、それは激変した。お見合い結婚というものが、良いものとして扱われなくなってきたのだ。それどころか悪しき風習、女性の自立を妨げる時代錯誤なものとして、風刺的に扱われることが圧倒的に多くなってきたといえるだろう。 もちろん今でも地方の集落、保守的な家庭、家と家とを繋げることが重要視される富裕層などの間では、お見合い結婚は当たり前であるが、ただそれは、インドに限ったことではない。極端なことをいうと日本も一部はそうではないだろうか。どうしても極端な部分を取り上げて、全体的にそうだというイメージを与えてしまっているが、インドは、かなり現代的な国である。 スマホで世界中の情報にアクセスできる今となっては、互いを知らないで結婚するという行為自体がファンタジーのように感じている若い世代も多い。 そのため若い世代を中心に描いた作品では、お見合い結婚は邪道という扱いでしかない。例えばデビー・ラオが手掛けたAmazonプライムドラマ「ディル・ドスティ ~夏休みのジレンマ~」では、ベンガルールにある都会と田舎が舞台となっており、現代女子のアスマラが、家系繁栄のために結婚させられそうになった親友の親族に対して「親や家のためのお見合い結婚なんて時代じゃない!バカじゃないのか!!」と物申すシーンがある。