日銀・黒田総裁会見3月18日(全文3完)円安が全て経済にマイナスになるというのは間違い
世界の金融システムに変調が起きるリスクはどの程度か
ロイター:すいません、では、ありがとうございます。ロイターの木原です。本当、簡潔に2点。1点目はコストプッシュでインフレが上がった場合、持続しないということであっても、物価はもう上昇しないんだという前提で人々が行動するという適合的な期待形成、これに何か変化が生じる可能性というのはあるのか、ないのかという点と、ウクライナ情勢では今のところ金融システムに大きなショックが起きていませんが、ロシアのデフォルトも意識され、日本の金融機関のエクスポージャーは少ないですが、欧州の銀行はかなりエクスポージャーがあるところもあるので、世界の金融システムに何か変調が起きるリスクはどれぐらいあるのかという2点お願いします。 黒田:インフレ期待に対する影響っていうのは、われわれもよく見ているんですが、さまざまな指標を見ましても、短期のインフレ期待っていうのは、これだけ上がると、足元では短期では上がってるんですけども、中長期のは全然上がってないというのが多いので、インフレ期待の形成がどういうふうになるかっていうのは、非常に中央銀行の間では関心の高い話題なんですけれども、少なくとも今、日本について何かそういうことが、この変化が起こってるというふうにはみられません。
ロシアの金融システムと極めて縁が薄くなっている
ただ、少しずつ、なんて言うんでしょうか、対消費者の価格は上げられないという感じは薄れてきていると。価格転嫁に少しずつ前向きになっているという企業の声は聞こえますけども、それでは実際に、ものすごい勢いで転嫁が進んでるということでもありませんし、そもそも、この商品市況の動向が、先ほど来申し上げたように、どんどん上がっていくっていうような見通しを取る人はあまりいないように私は見ております。 それから、ロシアのデフォルトとかロシアの金融の混乱が日米欧の金融システムに影響を与えるかどうかっていうことですが、これは欧米の中央銀行の方なんかも言っておられるように、そういう程度は極めて低くなっていると。特に2014年のクリミア半島侵攻のときから、日米欧とも金融機関はロシアに対するエクスポージャーはもう相当、減らしてきていますし、それから、ロシア国債がデフォルトする可能性っていうのはまだあるとは思うんですけども、その影響が何か日米欧の金融システムに相応の影響があるというふうには思っておりません。もはやロシアの金融システムと日米欧の金融システムとは極めて縁が薄くなっていると。欧州のよく報道に出ている某銀行とか、なんか影響が多いんじゃないかとかいわれて、ロシアから撤退するそうですけども、少なくとも欧州の、大国の金融当局は影響はあまりないということをはっきり言っておられます。 NHK:総裁、申し訳ありません。もうおひと方、手をあげられてらっしゃるので、もうおひと方だけ、申し訳ありませんがお願いいたします。