「バイクはやっぱり4気筒」というのは過去の話!? 2気筒エンジンのバイクが人気の理由
■本気のスポーツマシンも選べる
2気筒エンジンが発生する振動について触れましたが、現行の2気筒エンジンはすべてバランサーが装備されていて、不快な振動を感じるようなマシンはほぼありません。このバランサーも個性を作り出すのに一役買っていて、例えばスズキの「GSX-8S/R」や「Vストローム800/DE」などに搭載されているエンジンは、クロスバランサーと呼ばれる世界初の機構を採用。クランク角は270°ですが、不思議なくらい振動がなく、4気筒エンジンに近いようなフィーリングです。 こうしたフィーリングもあってか、このエンジンはフルカウルのスポーツマシン「GSX-8S」にも搭載されています。同社のスーパースポーツ「GSX-R1000R」が生産終了になった今、フルカウルスポーツとして期待されているモデルです。 ヤマハでも2気筒のスーパースポーツ「YZF-R7」を導入していて、4気筒が中心だった大排気量スポーツのカテゴリにも2気筒マシンの進出が目立ってきています。 近年人気のアドベンチャーモデルも、トラクション性能が優れていることもあって270°クランクの2気筒エンジンが中心。ホンダのアドベンチャーマシン「CRF1100Lアフリカツイン」や「XL750トランザルプ」も270°クランクの並列2気筒です。 様々なエンジン形式が選べ、そのフィーリングや乗り味も個性豊か。トルクフルで扱いやすいのと同時に、高回転まで気持ちよく回るなど現行2気筒エンジンの魅力を紐解くと、このパワーユニットがラインナップの中心となっている現状も理解できます。もちろん、4気筒エンジンに比べてコンパクトで開発・製造コストが低いこともメリット。しばらくは2気筒エンジンが主流の状況が続きそうです。
<文/増谷茂樹>