ポストSで株を上げたマー君はヤンキースに残るのか?
田中このオフ、3年総額6700万ドル(約74億円)の残りの契約を破棄して、フリーエージェント(FA)になる権利を持ち、プレーオフに入るまでは契約破棄をすることはないだろう、と見られていた。 仮にFAになっても、今よりいい契約を結ぶことは難しいのでは、という捉え方が前提にあり、確かに本人も認めているように今季は不安定なピッチングが続いた。「田中が契約破棄した場合、ヤンキースは追いかけないだろう」とも報じられた裏にも、そのことがある。 だが、ポストシーズンでは、例えば、負ければ後がないインディアンズとの地区シリーズ第3戦に先発すると、チームに勝ちを呼び込んだだけでなく、シリーズの流れをも変えてしまった。その後も安定したピッチングを続けると、米メディアの見方にも変化が出始めた。 「契約を破棄してもおかしくない……」
2003年の夏からヤンキースの番記者を務めるバーゲン・レコード紙のピート・カルデラ記者は、「それでもまだ、契約破棄をしないと思う。サンプルとして少なすぎる。ポストシーズンだけでは、今後5~6年の活躍を見通すことは難しいのではないか」とし、FAになっても、今と同等以上の契約を勝ち取るのは難しい、よって残留が現実的、という見方を示したものの、1999年からヤンキースの番記者を努め、今年に入ってフリーランスとしてヤンキース、メッツの取材をしているアンソニー・マッキャン記者は、「分からなくなった」と答えている。 「ポストシーズンが始まる前、彼は契約破棄をしないと考えていた。でも、今はむしろ、その可能性が高くなったかもしれない」 それは、 ポストシーズンの実績により、契約破棄をした方が残る3年総額6700万ドルを上回る契約が出来るのではという予測に基づくが、それでも、田中があくまでヤンキース残留を見据えて契約破棄をするのだとしたら、「単純な話ではなくなる」とマッキャン記者は言う。 「ヤンキースとしても田中を高く評価している。ただ、これ以上の年俸を払うという保証はない。それは他の選択肢との兼ね合いだ。もしも大谷翔平を獲得し、残留を希望するC.C.・サバシアと再契約をすれば、先発の枠は埋まる。タイミングも絡んでくるが、ブライアン・キャッシュマンGM(ゼネラルマネージャー)はチーム総年俸の削減も意識しており、ここでさらに長期大型契約を抱えるかどうかは不透明だ」