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日本初公道レース実現の立役者……企画を江津に持ち帰った男が語る”日本で初めて挑んだことの魅力”|A1市街地グランプリ

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motorsport.com 日本版

 日本で初めて、公道を使ってのレースが行なわれた。舞台は島根県江津市。正直、馴染みのある土地だとは言えない方が多いのではないだろうか……その江津で、記念すべき日本での初公道レースが行なわれ、無事に、そして成功裏に終わった。 【ギャラリー】日本で初めての公道レースが実現! A1市街地グランプリGOTSU2020(随時更新)  これに胸を撫で下ろしていた人物がいる。A1市街地グランプリ GOTSU2020の実行委員会事務局を務めた、森下幸生である。この森下が、A1市街地レースクラブから公道レース開催の企画書を受け取り、江津に持ち帰ったその人である。今から実に7年も前のことだ。 「嬉しいというか、清々しい気持ちです」  レース終了後、森下はそう語った。 「7年間の苦労などと聞かれますけど、単純に楽しかったです。レースを見ていても、私はレースが好きだったんだなと思いました。楽しいし、市街地の魅力を感じました」 「住民の方含め、みなさん楽しかったと言ってくださっています。普段は興味のない方でも、たまたま見られたという方もたくさんいらっしゃったはず……市街地レースの魅力は、ここにあるのかもしれません」  ただ、簡単に成功に至ったわけではない。それは7年という歳月が物語っているが、初めての公道レースということで、最後まで気苦労が多かったという。 「これまでの実績がないので、最後の最後まで、調整をなかなか進められないということがありました。私の方は、進めていっても大丈夫だと分かっていても、実際に動く人たちからすると『いや、それはまだ早いよ』ということもありました。たとえば、『まだ道路の使用許可が下りていませんよね?』ということもあったりしたんです。組織内でも、そういう気持ちの相違はありました」 「これが”初めて”ということだと思います。実績があれば、それと照らし合わせて、ここまで来ているということを見ることができる。でもそれが今回はなかったので……道標がない状態でした」 「たとえば、警察関係者の方が出席する会議に、全員が出られるわけではありません。そうなると、情報が途切れてしまうこともありますからね」  当初の計画では、地元に何らかの利益をもたらさなければならなかった。しかし新型コロナウイルスの影響で規模は縮小。観戦客も著しく制限され、ブースの出展なども不可能になった。”公共公益性”を確保するのが難しくなったのだ。  しかしその一方で、今回A1市街地グランプリを開催したことで、江津という街の名前は、全国に広く知られるようになったと手応えを感じているという。 「今回のレース開催の目的のひとつは、多くの人にこの街を知ってもらうことでした。そしてこの7年の間に、島根県江津市という街の存在を、多くの方に知っていただけたと思います」  そう森下は語る。 「ツイッターの投稿では、100万人近い方が見たこともあった。それはもう、目標を達成しているんだと思います。今はネット社会ですから、実際にお客様がいらっしゃらなくても、情報に価値があります。日本で初めて公道レースに挑戦した、それが江津の魅力になるのだと思います」 「色々な方との縁が繋がりました。でもそれは、公道レースを日本で初めてやるということが根底にあったから。だから興味を持っていただけたわけだと思います。これが今後の時代のイベントが担う、地域活性化の姿なのかなと思っています」  初回は大成功に終わったA1市街地グランプリ GOTSU2020。では、来年2回目の開催があるのか? 森下曰く、来年再び開催するのは、そう簡単なことではないという。 「準備の時間を考えると、来年は難しいと思います。江津市に再びチャンスが訪れるのか、それはこれからですよね……来年の話は、まだしていません」 「安全性など、様々な検証の材料があると思います。回を追う度に見えていなかったモノが見えてきて、そしてどんどん精度が上がってくるのだと思います」 「2回目を開催したくないなどとは言いません。もう一度見てみたいですし、こういう体験を積み重ねたいという気持ちはあります。人間ですからね。そして、ひとつ実績を作れたというのは、大きいことだと思います」  日本で初めての公道レースを実現できた感想、それを改めて尋ねると、森下は次のように語った。 「本当に楽しかったです。多くの人と時間を共有できた……この7年の年月が素晴らしかったのは、多くの人と関わり合えたことだと思います。それを今、実感しています」

田中 健一

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