包丁で刺した父と最期にやりとり「逃がしてくれたと思う」殺害実行した次男 伝わらなかった思い【宮城発】
父との最後のやりとり
法廷の中で明かされた直哉被告と隆一さんのやりとりがある。背後から隆一さんを刺し、包丁を抜いた直後、隆一さんは以下のように話したという。 隆一さん:何してんの 直哉被告:ごめん 隆一さん:捕まるぞ 直哉被告:そうかもしれない 隆一さん:帰れ 直哉被告:はい 直哉被告はこのやりとりについて「私が捕まらないように父は逃がしてくれた。父は殺されることが薄々分かっていたのかもしれない」と振り返った。
「気付く機会はあった」罪の重さ
判決の中でも、隆一さんの最期のやりとりについて触れられた。「自らの行為の意味に気付く機会を与えられながらも、これに気付くことなく、財布を奪って強盗に見せかけたり、隆一さんの生存を偽装したりした」(判決文より抜粋) 敦子被告は法廷で、か細く高い声で「殺していません」と訴え、判決を言い渡された後には傍聴席を振り返り、マスク越しに口元を抑えて判決に驚いたような表情を見せた。その姿は自らの無罪をアピールするようにも見えた。罪を全て自分で背負おうとした直哉被告は、そんな敦子被告を心配そうに見つめ、法廷を後にした。 隆一さんが与えた「気付く機会」。直哉被告がその重さを感じる日は来るのだろうか。
仙台放送